| 「ねー!買い物いこーよーー!」 夏が近づく今日この頃、私は一方通行の腕を引っ張っていた。 もうすぐ夏だし、そろそろ夏服を買いにいく時期だ。ショップには既に布面積の少ない衣装がずらりと並んで、可愛いものはすぐにSOLD OUTとなってしまう。 ――というわけで、私はベッドで横になっている一方通行の腕を必死に引っ張っている。 「勝手に行ってこい」 「いっぱい買いたいから荷物持ちしてよー!」 「フザケンナ」 グイグイと割と本気の力で引っ張るも、一方通行の体はビクとも動かない。完全に能力を使われている。だって、背は確かに一方通行の方が高いけど下手したら体重は私と同じかそれ以下なくらい、彼の体は華奢だ。けれど私は、諦めない…! 「あ、ほら!一方通行の服も見に行こうよ!いつも似たような服ばっかでつまんないじゃん?私が見立ててあげるからさぁー!」 「いらねェ」 デスヨネェー。本気で動いてくれない一方通行に、私の引っ張る力はどんどんと落ちていった。そしてそのまま私はベッドへ倒れ込み、一方通行の上にボスンとのしかかる。「重いデブ」と罵られるが、私は最後の悪あがきだというように彼の上から動かずジロリと睨みをきかせた。 「跳ね返すぞテメェ」 「一方通行のばかモヤシ…」 「ア"ァ?」 「うっ……怖くないもん」 正直一方通行の睨みは物凄く怖いけど、私は臆しない。きっと私以外の人だったら泡拭いて気を失っていただろう。一方通行という存在は、それだけ学園都市の脅威となっている。 「あーあ、可愛いお洋服無くなってたらどうするの?それに、夏休みに行くプール用に水着も買いたかったのに…」 「ア?ンなのいつ行くンだよ」 「だから、夏休みだってば」 「誰と」 「学校の友達だってば」 「学校……お前ントコ、女子校だったか」 「そうだよー女の園だよ〜。…あ、もしかして男子居るとか思った?いないですよー普通に女子会ですよぉー」 「……そォかよ」 「安心した?」 「…………」 無視された。 自分で聞いてきたくせに、酷いなもう。私の通う学校は女子校なので男っ気はまったくなく、それはもう悲しすぎるほど華やかな女子だらけの生活を送っていた。 「今年の夏はさ、一方通行も一緒にプールか海行こうね」 「誰が行くかよ」 「じゃあ一人で行って、誰か他の男の人にナンパされちゃってもいいの?」 「勝手にすりゃァイイだろ」 「む……じゃあ、今日も誰か他の力持ちの男子に頼んでお買い物付き合ってもらおうかなぁ…」 「……」 別に私たちは付き合ってない。一方通行がそう言うなら、こっちだって都合の良い人見つけてさっさとこの家から出て行ってもらうんだから。私は大変ご立腹なのです。そうと決まれば、私は携帯を開いて連絡帳から知り合いの男子を探した。女子校だけど、ちゃんと異性のお友達はいるんだからな。 「うわぁッ!?」 ボスンッ その瞬間、私の体は再びベッドへと倒れ込んでしまった。腕は一方通行の白い手で掴まれていて、引き寄せられるように私の顔は薄い彼の胸板にぶつかる。 「ちょっと、何すんっ…」 「いいから今日はもう寝てろ」 ぐっと後頭部に回された手におさえられ、私の体は身動きとれなくなってしまった。その真っ白で細い体は冷たく、私の体がピリリと震える。それでも妙に、心地よく感じた。 「やきもち?」 「ぶっ殺すぞ」 「もー………今度、付き合ってよ?」 「気が向いたらな」 いや絶対付き合ってよ。 彼の考えていることは分からない。それはコイツが学園一位だからなのかなんなのか、私には分からない。ただ妙に安心して、でも恐怖もある。私は彼の力に臆してこうなっているのか――いや、それも違う。私は一体、彼に何を…想うのか。 考えても答えは出なかった。 |