アイツのいない日々は退屈だ。
クソくだらねェ実験が始まってからどれだけの時間が経ったかなんてのは忘れてしまった。ずっと室内でやっていた実験が最近は屋外でもやる様になり、その指定された場所が普通の街中だった時は何を言ってンだと思った。ンなことしたら騒ぎになるだろォがと思ったが、このイカれた実験はちょっとやそっとじゃ周りのヤツ等にバレることなんてねェ。たとえバレたとしても騒ぎになることはないだろう。この街は、そーゆー街だ。本当に、イカれてやがる。
アイツが居なくなって以来、主人の居なくなったあの部屋は時間が止まったように静かになってしまった。いつも来る度明るい部屋だと思っていたが…今はそうでもない。もしかしたら研究所のヤツ等が来るかもしれねェと数日ソコで過ごしてみたが、誰一人来ることはなかった。それからは、もうあの部屋へは戻っていない。
自分の部屋で過ごすようになったが、何故かそれに妙に違和感を覚えて、最初は落ち着かなかった。だがそンなのも数日経てば慣れる。いつもの様に缶コーヒーを買って、飲んで、適当なコンビニ飯でも食って、ンで決められた場所と時間に実験をする。今日も確か、深夜に1つ入ってたな。ったく、めんどくせェ……。

「今日の相手は私、ミサカ10004号です。とミサカはお伝えします。」
「あァ、そォかよ」
「実験開始まであと、5…4…3…2…」

今日の実験場所は屋外ではよく利用する無人区域の多い学区だ。この前殺った時にかなり汚してた気がするが、今じゃ綺麗サッパリ無くなっている。証拠も何も残らねェーってか、どンだけこの実験に賭けてンだよ。見た所、関わってる研究所の数も、学者の数も、金も相当なモンだ。そこまでして手に入れる価値が…この”レベル6”にはあるっていうのだろうか――。そンなのは、手に入れりゃ分かることだ。

「…1、実験開始です。」

殺しても、殺しても、コイツ等は明日になればまた同じ顔で、声でオレの前に現れる。何を言っても、何度脅しても、コイツ等は実験だからと向かってくる。圧倒的力の差があっても、普通の人間ならバカだと思うことも―…、コイツ等は人形だから何とも思わない。今日もさっさと終わらせて、寝よう。
さすがに一万も殺せば、コイツ等も学習してきたようだ。最近は単純に実験が終わることはなく、少しだけ延びた。だが…そンなのは少しだけだ。たった、数秒だけのこと。オレがちょっと動けば、あっという間にコイツはもうこの世から消える。
さあ、今日も―――

「たス…け…て……、くせら…れー……た…」
「ハ?」
「!?」

無様にのけ反り倒れたこのクローン人形に手をかざそうとした、その時だった。一瞬ヤツの目にギラリと光が見え、そして耳を疑うような台詞を言った。思わず手が止まってしまい、オレはソイツの瞳をもう一度見た。何故かソイツも、驚いていた。

「今のは、ミサカの言葉ではありません。とミサカは例のない事態に咄嗟に否定します。」
「…どォーゆーコトだ」
「恐らく今のは、ミサカネットワークに干渉した、お姉さまの言葉です。とミサカは推測します」
「オネエサマだァ?」
「―――はい、名前お姉さまです。」

――ッ!?
何を…言って、やがんだァ?コイツは…。
確かに聞こえたアイツの名に、思考が一瞬停止する。さっきコイツは”ミサカネットワークに干渉した”とか言ったっけか。確かソレはコイツ等クローンが繋がっている脳波リンクだったハズだが、何故ソレにアイツが関わってくるンだ。確か絶対能力進化計画にはクソみてェな第二プランがあって、それの被験者はアイツだ。あの第二プランの内容はアイツの脳にミサカネットワークをリンクさせるとかどォーとか言っていたなそういえば。
オイ、それってつまり―――…、

「第二プランはしっかり進行中ってコトかよ…」

やっぱこの学園のヤツ等はオレ等をモルモットとしか見てねぇクズな野郎ばかりだ。

「あァ……助けてやる…」
「…?」

この世は不条理だ。
それでもオマエの居る世界は、幾分かマシな気がした。それを奪おうってヤツがいるンなら、オレが全て壊してやる。そのたった一つの為にどれだけを犠牲にしようと、この手を汚そうと、

「オマエを救ってやる」





救済


 

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