学園都市に8人目のレベル5が追加された。
その情報は学園都市中に一斉に広まった。どうやら科学者側がそれを公表し、世間に知らしめたらしい。どうしてそんなことをしたのかというのは……恐らく私の行動を縛る為だろう。”絶対能力進化レベル6シフト計画”が凍結となったその後に天井亜雄によって起こされたウイルスコードの事件によって計画は完全に中止と解体が行われ、私は晴れて自由の身となった。だがまだ私の能力は健在しており、その使い道はこれからも無数の可能性があると予測されている。けれど今後それを決めるのは、誰でもない私の意志だ。もうあの時のように一人ではない…だから、私は自分の意志で生きることができた。

「学園都市に新たなレベル5誕生!その順位は超電磁砲レールガンと入れ替えの”第3位”…………まじか」

これは、その情報が世間に知れ渡ってすぐのこと。
空高く学園都市の上空を舞う飛行船にでかでかと記されたその文字を見上げ、私はぱっくりと口を開けて呆然と立っていた。まだまだ残暑が厳しいなか、幻覚まで見えるようになったのかと私は何度も目を擦ってみせるも…やはりその文字はハッキリと空を飛んでいる。確かに”レベル5”だと測定結果が出たのは知っていたが、順位までは考えていなかった。というか普通に第8位だと思っていたのに……まさかの第3位だなんて、衝撃的すぎるだろう。
この学園都市における”レベル5”の順位というのはただ単に強さだけではなく、どれだけ科学に貢献しているかにも入ると聞いた。私の能力については科学ではかなり実験の役に立つ代物なので、恐らくそれが反映しているのであろう。超電磁砲と真っ向勝負して勝てる自信なんて私にはない。

「ねえ見た!?あの記事!」
「見た見た!学園都市8人目のレベル5だろ!?」

聞こえる、聞こえる…街へ行けばその話題で持ち切りだ。良すぎる耳のお陰で大量に入ってくるその噂話に、私は能力でその音を半減させた。まあこんなビックニュース、話のネタには丁度いいだろう。公表されたのは”8人目”と”第3位”という情報しかなく、能力や私の名前や顔までは世間に出ていなかった。だから普通に街中を歩くことはできるが…やっぱり落ち着かないものだ。だけど今日はどうしても外に出て行かなければいけない所があり、私は目的の場所までスタスタと足を進めた。
第七学区のセブンスミスト付近にある特設の小さなワゴン車で造られた出店があり、そしてそれに並ぶ小さな子供たちと保護者の大人たち。情報通りだと満面の笑みを見せた私は、一目散にその列の最後尾へと並んだ。

「期間限定ゲコ太オフィシャルショップ、あと10分ほどで開店となりまーす!」

メガホンを持ったスタッフの女性のそんな声が響き渡り、私は抑えきれない嬉しさにわくわくと足元が上下に揺れた。そう、なんたって今日は大好きなゲコ太のグッズ店がここで期間限定開店されるのだ。ファンとしては欠かせないこのイベントに、それはもう私は飛びついていきました。

「あの、ここ最後尾でいいですか?」
「はい、そうですよ………あ、」
「え?……あ、」

私たちは同時に目をぱちくりとさせた。
だってその振り向いた先には、御坂美琴がいたのだから。まさかの偶然の出会いに、私たちはしばらく片まって「あー……久しぶり、です」「そ…うだねぇ…」なんてぎこちない挨拶を交わす。
彼女とは例の計画の後、少しだけ話をした。今回の事態についてお互いを責めるつもりはなく、私たちはそれぞれに罪悪感を抱いていた。私は勿論自分が悪いのだと思っていたので、美琴ちゃんに謝られた時は驚いた。そして彼についても、彼を庇うつもりはなかったし許してもらおうなんて思ってはいなかったけれど、「彼がああなってしまったのは私のせいでもあるの…本当にごめんなさい」と、それだけは伝えた。きっと美琴ちゃんは一方通行を一生許すことはないだろうけど、それでも彼が全て”悪”ではないことだけは、言いたかった。これ以上私たちはこの件について触れることはなく、そして別れた。

「名前さん……もしかして、ゲコ太好きなの?」
「え、うん…………え、美琴ちゃんも?」
「は、はい!え、うそ…まさか私より年上でゲコ太好きな人いるなんて…!」

その瞬間、私たちは固い握手を交わした。
まさかの出会いにどうしようかと思ったけれど、ゲコ太好きとあれば話も状況も変わってくる。そこからの会話はさっきまでのぎこちなさとは打って変わって、どこが可愛いだとか、あのグッズは持っているかだとか、それはもうゲコ太愛を二人で語り合った。ゲコ太といえば子供向けキャラクターとして捉えられていて、あまり同い年でこういったキャラクターを好きな子が居なかったので嬉しかったのだ。それに何故か美琴ちゃんは涙する勢いで、私がゲコ太好きなことを喜んでいた。

「はぁー買った買った!」
「どれも可愛くて迷っちゃったよー」

そうこうしている間に店はオープンし順番もやってきて、私たちは思う存分買い物に励んだ。事前にチェックはしていたけれど実際目の前にすると全部欲しくなってしまって、私も美琴ちゃんもついつい袋いっぱいに買いすぎてしまった。まさかこんな風に美琴ちゃんと買い物をする日がくるなんて…人生何があるか分からない。

「まあお姉さま、休日なのに朝早くからどこへお出かけかと思ったら…まさかこのゲコ太グッズを買うために…?」
「げっ……黒子!」

丁度二人でお店を背にしていたところ、ツインテールの女の子が美琴ちゃんに向かって口元へ上品に手を当て声をかけてきた。常盤台の制服を着ていて、確か美琴ちゃんの通う常盤台中学は休みの日もどこへ行くにもその制服を着ていなければいけないのだと聞いたことがある。

「あら、そちらの方は…?」
「え、あっ、この人はー…」
「えっと、名前っていいます。美琴ちゃんとはお友達、だよね?」
「あ、はい!うん!そう!お友達!」

黒子と呼ばれた少女が私に気づいて不思議そうな視線を向け、美琴ちゃんがすかさず紹介しようとするのだけど…私たちの関係を誰かに言うには少し難しい点が多かった。どうしようと固まってしまう美琴ちゃんを遮って私は、咄嗟に”お友達”と言ってしまった。正直私たちの関係はそういったものではないけれど、今はこう言うのがベストだろう。

「わたくしは白井黒子と申しますの。お姉さまの唯一無二のパートナーであり永遠の愛を誓い合った…あだっ!!
「普通に自己紹介できんのか!!」
「酷いですわお姉さま…!黒子の愛は本物ですのに!!」
「あはは、仲が良いんだね二人とも」

思ったよりキャラに個性がある子らしい…。二人のやり取りもなんだか慣れていて、本当に仲良しなんだなというのが分かる。あの事件でしか彼女のことを知らなかった私からしたら、彼女のこういった表情はとても新鮮だった。そうだ、彼女も普通の女の子なのだ…と。

「それにしても、お姉さまにこのようなご友人がいらっしゃったなんて…黒子知りませんでしたわ」
「え、あ、いやー…まあ、最近知り合ってね!ねぇ?」
「うん、最近たまたま…ね?」
「そうでしたの……えーと、名前さんは…」
「あ、えっと、霧ヶ丘女学院に通ってる…普通の学生、です」
「霧ヶ丘女学院…ってことは、え、高校生…ですの?」
「あ、はい……え、見えない…かな?」
「い、いえ、そんなことはありませんの!(てっきりお姉さまと同い年か私と同学年と…)」

黒子ちゃんの視線が何故だか少し痛くて、もしかして何か勘繰られているのかとひやひやした。だけどどうやら、彼女は大好きな美琴ちゃんの知らない部分を知って、少しやきもちを焼いているのだろう。

「そういえば、初春と佐天から先ほど連絡があって、近くでお茶でもしませんかーとお誘い頂きましたの」
「あ、ほんと?行く行く」
「では連絡入れておきますわね」
「………あ!ねえ、名前さんも一緒にお茶しません?」
「へ?」
「ね、せっかくだし…時間、ありますか?」
「え、あ……うん、あるけど…」
「じゃあ決まり!」

まさかの美琴ちゃんのお誘いに、私は正直驚いていた。きっと彼女は私ともうあまり会いたくないだろうって思っていたから…だから彼女からそう誘ってくれて、とても嬉しかった。
そうと決まればと私たちは場所を移動して、彼女たちがよく行くというカフェへと向かう。オープンテラスになっているカフェには既に二人の女の子が居て、美琴ちゃんたちを見つけるなり笑顔で大きく手を振っている姿が見えた。なんだか完全にアウェーな感じがするのだが、果たして本当に私はここに居ていいのだろうか…。彼女たちの前へと到着すると、もちろんのように視線は私の方へと向けられた。

「こちらは私のお友達の名前さんで、霧ヶ丘女学院の生徒さんなの」
「霧ヶ丘女学院!?あの名門お嬢様高校の一つの!?はぁ〜〜まさか霧ヶ丘女学院の生徒さんとお知り合いになれるなんて…!」
「あーあはは、この子は初春飾利ういはるかざりで、私は佐天涙子さてんるいこっていいます」

初春飾利と紹介された頭に花の飾りを付けている女の子はどうやらお嬢様学校に憧れがあるらしく、いつもこんななのだと気にしないでくれと苦笑いされる。佐天涙子という黒髪の女の子は明るく元気な感じで、ほんわりしてる初春ちゃんと並ぶと丁度いいコンビのように見えた。

「そういえば御坂さん!大問題じゃないですか!」
「え、なにが?」
「なにがって、今朝の記事ですよ!学園都市に8人目のレベル5が登場したって!しかも、順位は御坂さんと入れ替えで3位って!」
「あー…それね…」

席について皆それぞれ注文をして一息ついた時、佐天ちゃんが持ちかけてきた話は…例の8人目のレベル5のことだった。彼女たちも学生なのだからやっぱりそういった話になるよね…と、私は痛い耳を抑えてその話には触れないよう黙って聞く。それになんといっても順位入れ替えとなった当の本人がそこに居るのだから、触れないほうがおかしい話だった。けれど美琴ちゃんはあまり気にした様子もなく、佐天ちゃんの話をサラっと受け流すような返事をする。

「それね…って、御坂さん、ショックじゃないんですか?」
「ショックって…別に、元々私は順位とかどうでもいいって思ってたし…あんまり興味はないかなぁ」
「そうですわ、お姉さまが例え第4位になっても、常盤台のエースに変わりはないですの」
「え、え〜〜〜そうなんですかぁ?」
「ほら佐天さん、私の言った通りじゃないですか。御坂さんは気にしないと思うって」

話題が話題なだけに会話に入ることのできない私は4人を交互に見ながらドリンクを静かに飲んで聞く体制となる。現段階で出ている情報だときっと美琴ちゃんも私が第3位だということは知らないだろう。けれど彼女の答えは彼女そのものを表していて、私は心底美琴ちゃんがあの子たちの姉で良かったなと、その言葉を聞いて強く思った。

「あ、そういえば名前さんって霧ヶ丘女学院なんですよね?霧ヶ丘って言えば能力開発では常盤台に肩を並べるほどの名門校って有名ですよね!名前さんも何かの能力者なんですか!?」

突然話の方向がコロっと変わり、佐天ちゃんがキラキラした目で私へと矛先を向けてきた。まさかここで自分に話が振られるとは思っていなかったので、完全に聞く体制だった私は飲んでいたドリンクのストローをズゴッと鳴らせた。

「え、あー…うん、一応能力者…かなぁ」
「へー!どんな能力なんですか!?」
「えーっと……、」

能力について正直に答えていいものかうーんと少し考えるが、もうあの頃のように隠れて生きることはないのだ。だったら別に言ってもいいかなと思い自分の能力について話そうとした時――、ふと、思いついた。ちょっとした遊び心だ。

「ゲームしよっか」
「え?」
「私の能力はなんでしょうゲーム」
「お、いいですねぇ!」
「あは、そういうのも面白そうですね!」

せっかく美琴ちゃんが呼んでくれたお茶会なのだから、私もこの子たちと仲良くなりたいと思った。私の提案に佐天ちゃんと初春ちゃんは楽しそうに乗ってくれて、黒子ちゃんも「粋なことしますわね」なんて言って同じく乗り気だ。

「御坂さんは名前さんの能力知ってるんですか?」
「え、ああうん、大体は知ってるけど…どういう風なことができるかまでは知らないかも」
「へぇー!ということは、結構珍しい系ですかねぇ?うわすごい楽しみ!」

美琴ちゃんには私の通称名やあの実験に関する資料を見られているのである程度は知っているかもしれないけれど、あくまであの情報は”実験での私”の能力だ。百聞は一見に如かず…なんて言うように、きっと見せた方が文字よりも十分理解できるだろう。
まずは何からやってみせようか…。とりあえず目の前に見えた、水の入ったコップに焦点をおき、それに私は手をかざした。そうすると――、

「わ、コップが動いた!」
「触らずに物を動かせる……ってことは、”念動能力サイコキネシス”ですかっ?」
「ぶっぶー、ハズレでーす」

まずは超音波の振動を使って水の入ったコップをスー…っと軽く動かしてみせると、予想通りの反応を初春ちゃんと佐天ちゃんはくれた。それがまた面白くて、では次はこういった応用編をしてみようかなと、私は悪戯を思いつくようにピコンと閃いた。

『        』
「え、わたくし?えっと、こうですの?」
「「「え?」」」
「え?」

全員の頭にハテナが浮かんだ。今の状況では、黒子ちゃんが突然ひとりでに何かを言い出して、何故か両手を前にかざしている。ように見えただろう。美琴ちゃん、佐天ちゃん、初春ちゃんは当然黒子ちゃんに視線を向けて、いきなりどうしたんだというようにハテナマークを浮かべる。私はクスクスと笑った。

『佐天ちゃん、私の声聞こえる?』
「え、はい聞こえますけど…?」
「何が聞こえるんですか佐天さん?」
「え、いや今名前さんが話しかけてきたから…」
「はい?名前さんはなにも言ってませんけど…」
「えぇ?だって今…」

そう、私は今佐天ちゃんにだけ話しかけた。私の声を1つのラインを引くように細くし、私が向けた相手にだけしか聞こえないようにその”音”を送ったのだ。だから対象者には私の声が聞こえるけど、周りの人にはそれを聞き取ることはできない。先ほど黒子ちゃんにも同じことをして、その時は『黒子ちゃん、両手を前に出してみてくれる?』と言ったのだ。そしてそんな種明かしをしないまま編みだされる答えは――、

「わかった!”念話能力テレパス”ですね!?」
「それもハズレでーす」
「えぇ〜〜〜!?」

相手の脳内に直接話しかけることのできる能力、念話能力テレパスだと勘違いさせるようにわざとそう演出してみたのだが、大成功だったみたいだ。更に不思議そうにする3人に比べ美琴ちゃんは、関心したようにそれを見ていた。大元の能力については知っているだろうから、今見せた能力応用のトリックは彼女の頭ならすぐ理解できるだろう。だったらと、私はもう1つのとっておきを出してみようかと、カバンの中を漁った。

「なんですか、それ?手袋?」
「うん、これを使って面白いもの見せてあげる!美琴ちゃんもビックリするかも」
「え?」

ふふふと笑って、私は取り出した手袋を両手にはめた。手袋といっても防寒用のようなモコモコした綿の素材ではなく、どちらかというと作業用のゴツゴツしたタイプのもの。手の甲だけ見ると普通の手袋なのだが、内側には金属のような素材が複雑に模様を描いている。これが何なのかは後で説明するとして、まずは披露しようではないか。手のひらを向かい合わせにし、30cmほどの空間を作る。そして手に力を込めれば…、

「え、電気!?」

ビリッ…ビリリッ――と、私の手の間からうねる様な電流が走った。もちろんその事に美琴ちゃんも驚いていて、目を見開いてその光景をじっと見つめている。そして彼女は私の手の間にそーっと指を一本出してきた。

「うわっ、本当に電気だ……え、どういうこと?」
「名前さんって、”電撃使いエレクトロマスター”だったんですか!?」
「あはは、残念ながらそれもぶっぶーです」
「うえぇえ〜〜!?名前さんの能力謎すぎるんですけど!」

見せれば見せるほど謎が深まっていく私の能力に、佐天ちゃんはオーバーリアクションってほどに頭を抱えてみせた。さすがにこれ以上は可哀想かな…ということで、種明かしをしよう。

「私の能力はね、”音”を操ることができるの」
「「「音?」」」
「コップを動かせたのは、超音波振動ってヤツで波を発生させたの。そしてテレパスだと思ったのは、普通喋ったら分散される音を1本のビームのように出して、直接その人の耳に届ける…って感じかな。だからそのビームに触れてしまえば誰でもその音を聞くことが出来るの」

念話能力テレパスと違ってその音は見えないだけで存在はしているので、その音が聞こえるラインに立ってしまえば、それは聞こえるのだ。最近はそういったスピーカーも発明されているらしく、同じ空間で片方は音楽を聞いて、片方はテレビを見て…なんていうことができるとか。

「じゃあ、その電気は…?!」
「これは、この手袋がミソでね…、この手のひらには電圧素子が埋め込まれていて、私が手から生成した音を注ぎ込むことによって、手袋を通して電気が生成されるように仕組まれているの。といってもコントロールはできないから、電撃使いエレクトロマスターみたいなことはできないけどね」

音の可能性は無限大だ。私一人ではできないことも、こうやってアイテムを使うことで様々なことができるようになる。まだまだ見せていないものは沢山あるが、それはまた今度にとっておこう。

「ちなみに、レベルっていくつなんですか!?」

ずっと今まで、この力は誰かを苦しめることでしか使うことが出来なかった。けれど今こうして、誰も傷つけることなく、私はこの能力で誰かを楽しませることができている。この能力で良かったと、やっと…思えるようになってきたのだ。

「んー…まあ、それはヒミツってことで!」

きっといつか、分かる日がくるよ。



▼△▼




「オイ、このガラクタは何だ」

すっかり女子会に花が咲いてしまい、帰る頃には日も落ちていた。皆と連絡先を交換し、また遊びましょうねと笑って手を振って解散する。まさか美琴ちゃんとまたこうして会って、こんなに仲良くなるなんて思ってもみなかった。それが嬉しくて、私の顔は帰ってからもずっと緩みっぱなしだ。しかも手には今日ゲットしたゲコ太グッズで溢れていて、こんなに幸せでいいのかと顔のニヤニヤは止まらない。
そして私より少し後に帰宅した一方通行さんに開口一番、さきほどの台詞をゴミを見るような目で吐き捨てられた私の気持ち、分かりますか。

「ガラクタじゃないよ!!世界一可愛いゲコ太だよ!!」
「オマエまだそのカエル集めてたのかよ……ガキか」
「ゲコ太は子供向けだけど、一部の大人には絶大な人気があるんだよ!」
「ハァ?このイラつく顔のカエルがかァ?頭オカシイんじゃねェの?」

一方通行に出会う前からゲコ太のことは大好きで、彼もそのことについては知っている。よくゲコ太グッズをプレゼントして投げ捨てられてたなぁ…なんて、今は遠い昔の思い出のようだ。もう一生コイツにはゲコ太を触れさせないと決めた。

「つーか買いすぎなンだよ、どこに置くつもりだオイ」
「これは玄関で、これはテレビ台でしょ、これは冷蔵庫に貼るの!」
「フザケンナ」

至って真面目だし、それに――、

「来月には、この特大ゲコ太人形が届くんだよ!たのしみー!」

ハァーーーーー、
大きなため息が部屋に盛大に響いた。





学園都市の花園


 

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