9 『・・・子供みたいだわ』 「・・・・・」 『私、こんなに食べないんだからお皿に残しておけばいいでしょう?マナー違反』 「君は、もう少し食べるべきだと僕は思うが」 『卵は、まぁ食べてもいいけど。肉料理は・・』 「・・・・・・・」 『野菜は、身体に必要だと思うから食べるけど』 「君は、肉がないんだから食べなよ」 『貴方こそ』 「僕を君と同じにしないでくれないか」 『・・・・・・成人男性って、もっと食べるんじゃないの』 「必要な分は食べているから心配いらない。 ・・・言ってる傍から、デザートに手を出すのはやめてくれないか」 『これがあればいいのよ』 「いい加減、その偏食はやめた方がいい」 『自然食が食べたい』 現在の食物事情は、彼女の世界では受け入れられないようで あまり味を感じないという 確かに、自然食に比べれば劣ってはいるが味がしないというのは どうにも納得がいかない ・・・味覚障害の線も疑ったが 菓子類は、おいしそうに食べるのだから単なる好き嫌いなんだろう 「そうしていると本当に兄妹だな。君の、そんな顔は初めて見る」 「・・・そんなとは?」 「自覚がなかったか」 「・・・・・・」 『・・・・・?』 ちらりとこちらを見た泉宮寺と目があった 何かわからなくて、じっと見つめ返せば笑われたように感じた 「不思議な娘だ。君は、現代に生まれながら、私に昔を思い出させる」 『私も、この時代に生まれるべき人間ではなかったように思うわ』 そう言うと、また笑われたように感じた 「僕は、君のそういうところに惹かれるよ」 『あらそう』 スプーンを咥えたまま視線だけよこした新零を横目で見て、目を伏せた 何人も彼の獲物として引き渡してきたが 彼女を獲物に差し出すことは想像ができなかった もし差し出したのなら、彼女は、どう切り抜けるのだろうか 気にならないこともないが 何せ弱小プレイヤーだ。見るに堪えない結果になるだろう ←→ 目次 |