5 珍しく朝に起きてきた新零が酷く気分が悪そうなのは おそらく、二日酔い あれだけの量で、このありさまとは、よっぽど弱いのだろう 前髪をピンで止めたまま、蔑むような目でこちらを見てきた 「おはよう、新零・・・・君がこの時間に起きるなんて珍しいな」 『・・・・・・・・』 「・・・どうした」 『昨日、葡萄?の味のする何かを飲んだわ』 「君が勝手に僕の飲みかけのワインを飲んだ」 『・・・ワインだったの?』 「だから君は、今、二日酔いで頭痛がするんだろう?」 『・・・・・そういうことなのね』 「ちなみに、昨日のことを覚えているのか?」 『覚えてない。飲んだところまでしか覚えてないわ』 「昨日の君は、可愛かったな」 『・・・・・・・・・』 少し目を見開き、すぐに眉間に皺を作った 「ふふっ・・・・・」 『・・・・・・・・・・』 視線が少し泳ぎ、何かを考え 首を振った 『からかわないで』 「ばれたか」 読んでいるだけは、あるということか 言葉では理解できるらしい 『貴方、言ってたじゃない、私みたいなのには欲情しないって。・・・・なら、これは何よ』 「流れかな」 髪をどけて首筋を見せてくる それを何かを理解しているのは、この4年間に視覚として得た知識故だろう 『・・・・・・・セクハラだわ』 「・・・・・・・嫌だったか」 そう困った顔を作って言ってやれば 『そんな顔に騙されると思ったなら間違よ・・・この変態、ロリコン』 「・・・・・・・・」 ロリコンは何かと聞いてきた純粋な新零はどこへ行ったのだろうか 洗面所へ戻っていく新零を横目に、朝食のトマトを口に入れた 少し自分も酔っていたのかもしれない 『これ、どうやったら消えるの?』 「鬱血痕は、そうすぐには消えないものだ」 『・・・・・・・・・・最低ね』 「そこまで言われる僕がかわいそうだ」 『・・・・・・・・』 「・・・・ふっ」 『何』 「君も、もう17だったな」 『・・・・・・・』 「気をつけるよ。君も気をつけることをお勧めする」 『・・・・やっぱり、貴方、ロリコンだわ』 「君は、自分の見た目が17に見えないことに対して怒るべきでは?」 自分で、自分のことをロリータと称するとは、見た目の幼さを自分で言っているようなものだ 『・・・・どうしようもないじゃない』 そう言って、まだ気になるのか首をこすった 頭の痛さに、また横になった 今日は、本を読めそうにない 顔を洗おうとしたら首に何か痕があることに気づいた 鏡に映るそれを見れば、虫刺されかとも思うが すぐに違う気がした いわゆるキスマーク、鬱血痕、所有印 誰がしたかなど探すまでもなく なぜそうなったのかが気になった グラスの中身を飲んでからの記憶がなかった 所有なんて言葉が嫌だった 人が人の物になる 少し悲しい響きだ 私は、あの人の人形じゃぁない 起きたら聖護は家にいなかった ホロを起動させて部屋を明るくする 彼の設定のままなので外は明るかった 机の上に何か置いてある ・・・桜霜学園? 今更学校に行けとでも言うのだろうか 『・・・・・・』 椿菖蒲 自分とは似ても似つかない、健康的で背も高め 現状報告か何かだろうか 数枚の写真を見つつ、少しだけ会ってみたいと思う気持ちが強まった 彼女は、私のことを知っているのだろうか 1度会ったことがある あの時は、黒髪のショートだったが 今は、少し伸ばしているようだ 机にそれらを戻し、紅茶を入れるために移動した そういえば、こっちのテーブルで飲んだ気がする・・・ 無意識に痕に触れた 間近にあった銀髪が頭をよぎる 私は余計なことは言わなかっただろうか 泣いて喚かなかっただろうか 聖護は、何も言わなかったが 私は、何もしなかっただろうか・・・ アルコールなど飲んだことなかったので、少し不安になった その日、帰ってきた聖護が、エクレアを買ってきた それで機嫌が治る私も私だなと、思いつつ おいしくいただいた 日付が変わる前、久しぶりの発作で意識を失った 翌日には目が覚めたが、気分がすぐれなかった 意識を失う前の、見開かれた金色に どうして?と疑問を投げかけた ←→ 目次 |