2 知らないアバターに声をかけられたが いつも通り無視 自分の構築したエリアに多くのアバターが集まっているが 集めた覚えもない たまには、自分のエリアを抜けて 別の場所にも行くようになった だが、今回は行けと言われたので、 嫌々タリスマン・サルーンの空間に足を踏み入れた 周囲の目が気になるというのも変だが アバターの目がこちらを向いたように感じた それなりに有名なアバターになってしまったらしい 「それじゃぁ君の話を聞かせてくれるかな?客席も君の登場に少し驚いているようだ 寡黙なアバターで有名な“ラパンブラン”、君のコミュニティーは知らない人がいないくらいだ!」 『・・・・・勝手に人が来るのよ』 「またまた、ご謙遜を。それで、相談事というのは?」 特に相談事なんて、なかった 今まで、ほとんど話したこともなかったせいか 客席がざわざわとうるさい 『そうね、“トマトをジュースにする必要はあるのかしら?”私は、そのまま食べた方がおいしいと思うわ』 客席が静かになった 私は変なことを聞いたつもりはない 同居人がたまに、トマトジュースにするのが許せないのだ 特にためになる返答はもらえず タリスマンという人気の相談人もたいしたことなかった もう少し上手い切り替えしを期待したというのに セットを外してリビングに戻れば、撹拌されたトマト 「どうだった」 『つまらない、回答だったわ』 「何を聞いたのか聞いてもいいかな?」 『“トマトをジュースにする必要はあるのかしら?“』 正直に答えれば、飲みかけていたそれを一度見て、私の方を見て 一拍おいて、笑われた 「君は、本当に期待を裏切らないな」 楽しそうでなにより それから少し時間をおいて自分のコミュニティーを見に行けば 来場者が増えていた 今朝のあれがいけなかったのだろうか 2人目の犠牲者、葉山公彦 私が話したのは既に、御堂将剛に乗っ取られたあとのタリスマンだ 今の彼の玩具 デバイスを通じて彼の腹心と話をする 「面白くない回答に不満を持った者は他にもいたみたいですよ」 『そう・・・・・・どうしてグソンが知っているの?』 「そりゃぁ、御堂さんと連絡を取っているのは俺ですからね」 『それは、ご苦労様。・・・ねぇ、私がコミュニティーを開く意味はあったの?』 「貴女のアバターを槙島さんがたまに使っていたので、情報収集でもしていたんじゃないですかね」 『・・・・どうかしらね』 「そこまで考える必要ないと思いますよ。あの人は、貴女に娯楽として紹介したに過ぎない」 『まぁ、構築するのは楽しいものね。貴方にも感謝してるのよ』 「プログラミングですか?俺は、資料を渡しただけだ。筋がいいですよ」 『それは、どうも』 「それだけできれば、貴女がしたいこともできますよ。今度槙島さんから、渡してもらうように言っておきます」 『ありがとう、グソン』 「それでは、また」 通信を切り 再び、仮想空間に落ちた ←→ 目次 |