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「図書館で、何を話したんだい?狡噛と」

『いきなり、何?』

「僕より先に、何を話していたのかと思っただけだ」

『・・・そうね、確か。何をしているのかとか、親はどうしたとか聞かれたわね
 それから、・・・・本棚の上段にある本が取れなかったから取って欲しいと言ったら
 梯子を持ってきてくれたわ』

「あの梯子は、狡噛が・・・」

『すぐに、呼び出しがかかったみたいで、たいしたことは話してない
 貴方みたいに、頻繁に来たわけじゃないもの・・・その呼び出しも、聖護が絡んでいたのかしらね』

「さぁな」

隣に座って髪を弄ってくる男を横目にページをめくった

『ちょっと・・・読めない』

「たまには僕に構うのも居候の義務だと思うが?」

『勝手なこと言わないでよ、今いいところなのに・・・』

急に横から抱きつかれ
腕が邪魔で本が読めない
何がおかしいのかすぐ近くで笑い声が聞こえる

『あ・・っ?』

本を勝手に閉じて、手の届かないところに置き
一層抱きすくめ、頭を私に預けるように
そのまま動かなくなった

微かに聞こえる音は寝息なのだろう

首が痛いと文句の一つも言いたいところだが
人の体温というのは不思議で
何とも言えない安心感と共に眠気が訪れた


しばらくして目が覚めたが、聖護が起きた様子はなかった
体勢は少し変わっていたが
寝ていることには違いなかった

仮眠にしては珍しく長く
もともと睡眠時間の短い彼の寝顔を見るのは久しぶりだった

成人男性の5年というのは、見た目の変化がほとんどないのだろうか
狡噛は、目つきが鋭くなったように感じたが
聖護は、あまり変わったように感じない


『・・・・・・』





学園の図書館にあった、古い写真集を見た夜
夢を見た

あぁ、なぜこの時に生まれてしまったのだろう
もし、100年、200年前に生まれていたら

彼と違う関係でいられたのだろうか

もし、シビュラもなく
彼と対等であったのなら
彼は、私を見てくれることもなかったのだろうか


もし、今でなかったら
現実になっただろうか

彼女の状況なら、私は彼を本当の意味で好きなれたのだろうか


誰でもいいわけじゃない
・・・たぶん





『・・・・・・・・・』

体勢を戻し、彼に身体を預けて
目を閉じた











寝息が聞こえ始めた身体に再び腕を巻きつけた

「さっきの行為に意味はあったのかな?」

相変わらず幼い寝息に思わず笑ってしまう

顔にかかっている髪を耳にかけ
表れた頬に触れた


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