17 少し気になって連絡を入れた しばらく使っていなかったこともあり ちゃんと機能しているのかを確認するためと思ったが 最初の連絡で繋がらず いくつかの理由を考える その中にもちろん、それもあった 2度目の連絡で聞こえてきた声は 随分とめんどくさそうで 彼女らしいと思った さて この先のプランに 彼女を加えるかいなか 文字を追っては、ちらりと新零を見た 随分と嬉しそうに食べる様子に思わず口元が緩む ぱちりとひかれた瞳に返事をすれば 少し慌てた様子で、また一口シュークリームを口にいれた 本を閉じ 箱からそれを出し、口に運べば 何が面白いかの、上目使いで その様子を見ている新零がいた 「君には、僕がどう見えるんだ?」 『どう?・・・そうね。変人かしら』 「酷い言いようだ」 『・・・どう見えるもなにも、槙島聖護だもの。ほかに何に見えるのよ』 「実に君らしいね」 『見ていて飽きないわ』 「その言葉、そっくりそのまま君に返すよ」 『それは、どうも』 最後の1つに手を付けつつ また、ちらりと僕の方を見る 動作1つ1つを見るような視線に 少しだけ違和感があった 全て食べ終えた新零が、紅茶を飲みながら話題をだした 『もし、私が普通の人の子だったら。見向きもしなかった?』 「君は、普通だ。ただ家庭の事情で複雑な設定が付いているだけの、普通の女の子だ」 『・・・・・』 「普通だからこそ、気に入っている」 『貴方の言う普通がよくわからないけれど、私が普通なら、聖護も普通なのね』 「あぁ、その通りだ。まぁ、君の場合。普通の世界に置いては、変わり者だけどね」 『貴方もでしょう?』 「君が僕を見て判断したのなら、そうなのかもしれない」 『なら、普通の世界で、変わり者の私たちは、友達になれたのかしら』 なんとも可愛らしい質問だ 『シビュラがなければ、きっと私は普通だったわ?』 「そうだろうか。確かに子供時代の生活環境は性格に影響するかもしれないが 君の本質的なところは変わらないはずだ」 『・・・・・』 「シビュラのない世界でも、君とは上手くやれると思うよ。同じ、読書家としてね」 『・・・・・』 「まぁ、もし君が読書家でないとしても、良い恋人役は務められるかもしれないな」 『友人で結構よ』 「つれないな」 不機嫌な様子はなく 僕が手にしていた本を取り返し 別の場所に座った 「新零」 『何?』 「その話の犯人は・・・」 『・・・喧嘩売ってる?』 「弱っているとは思えないな」 かなりのスピードで投げ飛ばされた本を受け止め 戻って来た新零と視線を合わせる 「まだ、観察は続けるのか」 『・・・続けるわ』 「なら、しっかりしなよ」 『・・・・・・・・貴方が人を勇気づけるなんて気の利いた事できるなんて思わなかったわ』 「君の要望にはできる限り応えてあげるよ」 『・・・まだ、それだけの価値が私にあるの?』 「君がここで死を選ばない限りはね」 少しだけ力が抜けたように笑った新零の頭を撫でてやる 本人に自覚はないのだろうが あぁ、失うのが惜しい そう思う日が来るなんて予想外だ ←→ 目次 |