19 少し重くて、硬いそれは、これから一部の人間たちへと配られる 私が被ったところで何の意味もない 今日はデモンストレーションの日らしい すでにそれを手にした者たちが起こす騒動に 少なからず私も興味がわいた 珍しく、聖護の2つ隣に座って文字を追った 少し埃の被ったゲーム機が視界に入ったが 物語に集中することにした 出かける前に読み切ってしまおう それから、どのくらい集中して読んでいたかわからないが 最後のページをめくり終えると 聖護の話声が聞こえてきた 通話の相手はグソンだろう 『見せたかったのなら、別の方法を取れば良かったじゃない』 ぼそりと呟いた彼の言葉に、同じくぼそりと言葉を返せば くるりとこちらを向いた聖護が「出かけるよ」と声をかけた 少し大きめの厚手のポンチョをはおり、フードを深めに被る 一応被った方が良いと思ったのだが 気にせずにいる聖護を見て外し、乱れた髪を整えた ミニバンの助手席に乗り込み後ろを覗けば あのヘルメットがごろごろとしていた 「グソンが送ってきたデータだ。君も見るといい」 ・・・・・。 『・・・酷いものね、人が目の前で殺されているっていうのに 誰一人と助けようとも、助けを呼ぼうともしない』 私も似たようなものだが、聖護側の人間なので 助けるというのも、おかしいのかもしれない 「彼らは、危険だと判断できない。 システムも同様に、数値でしか判断ができない」 『この人、もう公安に執行されたのかしらね』 「さぁ、どうだろうな。狡噛がどこまで気づけるか・・・」 『これから起きることについて?』 「あぁ、もちろん」 抱えた膝に頭をのせ 楽しげに、少し妖しく笑う聖護を眺めた 『きりっとしていた方がいい』 「何の話だ?」 『・・・何でもないわ』 「?」 首の向きを変え窓の外を見る たいしたものは見えないが、別に気にしない ・・・学園で女子に囲まれていたからか 戻ってきてから、少しだけ見方が変わった気がする 『・・・・・・』 地下の駐車場に止められた車の中 先に外に出た聖護と窓を開けて会話をする 外から入る冷気にポンチョの前をぎゅっと握った 『・・・寒くないの?』 「いや、特に気にならないが」 『私、この格好でも寒いのよ?』 「君とは身体のつくりが違うんだ、一緒にしないでほしいな」 そう言い張る、聖護の首筋に少し伸びをして冷え切った手を添わせれば ピクリと反応したので、少し面白かった 「寒いのなら、窓を閉めればいいだろう?」 『本を忘れたから暇なのよ』 そのまま聖護の首筋で、暖を取っていたが いい加減冷えて来たのか、私の手をぺりっとはがし 不機嫌そうに振り返った 『これが、筋肉量の違いってことなの?』 「新零の体温が低すぎるだけだ」 貸してくれている手は、暖かく 片手で十分に暖がとれる 『!』 「・・・・」 駐車場に入ってくる車の音が聞こえた 振り払われる前に手をひっこめ窓を閉めた 隠れる必要があるか、わからないが 人質になるのも面倒なので席の足元に丸く収まることにした 微かに聞こえてくる声は、 やけに不機嫌そうで、その後の音も納得がいった 聖護を倒してヘルメットを売りさばこうなんて ありきたりなことであり ありえないことだと思った あの男を前にして、勝てると思うのか・・・ 窓から少し外を覗けば聖護の足が振り上げられたところだった ←→ 目次 |