20 この数日の間に多くの人間が色相を濁らせ 死人まで出る事態となった 色相を濁らせ 犯罪係数の高い者たちがヘルメットをかぶることで それらをごまかし、犯罪をすることはわかった それこそ、暴力をふるい、人を殺す行為にも 彼らの犯罪係数は高いのだからと、言ってしまえば ある程度納得はできた 実際、過去の日本、世界において 殺人事件は起きていたのだからおかしくはない ただ、善良な市民であると判断された者たちが 自分の身を護るためだと ヘルメットの者たちに手をあげ 殺人にまで至る現状は、納得ができなかった 『驚いたわ』 「現状に?」 『えぇ』 「それは、良かった」 『あの人たちは、自分の行動の善悪より、シビュラの判定を優先するのね』 色相が濁らなければ 犯罪係数が上がらなければ 何をしてもいいのだろうか それが自己防衛であっても その行動を疑わないのだろうか 聖護の場合は、色相も係数も関係なく 目的のためにやっているのだから当てはまらないわけではないが 何をしてもいいとは、思っていない。 言ったところで、どうともならないし それを楽しんでみている私は 結局のところ、彼らから見たら同類なのだろう 「新零」 『何?』 「いや、なんでもない・・・行こうか」 『?』 「久しぶりですね」 『そうね』 やっぱりついてきたのかという顔で、グソンに見下ろされた “臨時休業”と書かれた札などなかったかの様に 中に入っていく2人の後ろを少し遅れてついて行った ホロに囲まれた空間には、少しずつ慣れたけれど やはり実物を見てみたいと思ったのは、今日が初めてではない 本の中にしかないものになってしまったのだろうか やはりこの世界は、つまらなくなった 仕方のない変化だったのだろうか? それを確かめるほど自分には力がなく それを見極められるほど、優れた頭を持ってもいない 『・・・・・・っ』 ずきりと来る痛みに、手に力が入った 窓から見える、この景色は本物だろうか そう疑わなければならないのか 目の前にあるそれが、本物なのか、判断することが難しい 技術がここまで進む前は 人は、それを疑うことなく 本物だと判断できたのだろうか 羨ましい 「新零も食べますか?」 『いらないわ』 「紅茶くらい飲むといい。落ち着くよ」 『・・・・・』 軽くうなずいて2人のいる方へと足を進めた 続く鈍い痛みに、少しだけ息が乱れたが できるだけ何事もないようにふるまった 置いて行かれたくない 『・・・・これって、無銭飲食よね』 聖護の隣に座って、一言漏らせば 何を今更という顔の彼と目があった ←→ 目次 |