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もしかしたら
彼女の目に映っていた槙島聖護は
私達の知っている男とは、同じようで違っていたのかもしれない



ゆきが自分にとって大切であったように
彼女にとって、槙島が大切であったのなら
心境は自分と似ているのではないだろうか
もし、あの時、殺してしまっていたのなら
あの日の自分と、同じ状況だった

目の前で大切な人が奪われる苦しみは、痛いほどわかる

彼女のことを許せないと思う反面
違う感情が後から湧いてくる



「槙島は、彼女のことを新零と呼んでいました」

「それが、貰ったと言っていた名前なんだろうな」

「・・・・・・」

「あんたが、そんな顔をする必要はないと思うが」

「あの時の彼女の表情が忘れられなくて」

「・・・あいつにとって、槙島が特別だったのは事実だろうな。
それと同時に槙島にとっても、あいつは他の奴らとは違う価値を持っていたのは間違いない
 それも、今後の詰問で、わかってくる」

「そうですね・・・・・彼女の父親について狡噛さん何か知ってますか?」

「・・・・・・・俺たちと同じ潜在犯でありながら、
政府の研究者として働いていると聞いてはいたが」

「政府の研究者ですか・・・」

「一体、自分の娘で何をしようってんだ」

「そもそも、なぜ彼女を図書館に1人きりにしておいたんでしょうか」

「しかもだ、槙島が娘を連れ去ったにも関わらず今まで探していた様子もない」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・もし、あの時、俺が、ここへ連れて来ていたらどうなっていたんだろうな」

「・・・・・・保護施設に入れられるんじゃ」

「それか、それを聞きつけた父親が向かえに来るかだろうな」

「狡噛さんが引き取るという手もありますよ」

「・・・・・そうだな」

「・・・・・・・・・なんだか、本当にこれで良かったんでしょうか」

「新零に関しては、俺たちにはどうすることもできなかったさ」

あの男を視界にとらえた時
彼女は、すべてが終わってしまったような
あきらめたような顔をしていた

意識を失う前に流れた涙は、何を思っての涙だったのだろうか



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