25 逃げるという選択肢があった 負傷者2人なら、確率は低いが もしかしたら逃げることができたかもしれない 聖護の髪に触れる 言いたいことがあるのに 気絶したままの聖護が目を覚ます気配はない 新零でいてあげるなんて言ったのは、いつだっただろうか ・・・いてあげるのではない 私が、まだ新零でいたいのだ 関係が終わりでも 彼の観察は続けたい 見られるところまで物語の続きを見たい 私が物語に入ってしまってもいい 傍にいたいのに どうして、ヘルメットで殴られて気絶してるのよ かっこわるい 槙島聖護が犯罪者であるなど 言われなくても、近くて見てきた自分がよくわかっている 未来を奪われたものがたくさんいることもわかっている けれども 私は間違いなく未来をもらったのだ あの時は、そのつもりもなかった それでも、私は色々なものを聖護からもらったのだ 奪われたことなどなかった どちらかというと 公安の人間がシビュラシステムが 私から色々なものを奪っていくのだ そう思えば思うほど 口から言葉が出る 彼らに言って、何になる ただの淋しがり屋の言葉が何になるのだ 手に力が入る 心臓の痛みに息が乱れる 少し離れたところにあるカミソリを思い出す ふと触れた、聖護の手の温かさに何かが込みあがってきた ←→ 目次 |