07
「めめ?」
「久しぶり、理鶯!」
「なぜ、めめが小官の野営地にいる」
「入間さんが理鶯をチームに入れたって聞いたの。そしたら、今日会いに行くって言うから付いてきた」
「銃兎から・・・つまり警官に戻ったと言うことだな」
「うん」
「貴殿が決めたことに小官が口を挟む必要はないな。・・・久しぶりに会えて嬉しい、めめ。ところで、銃兎と左馬刻は一緒ではないのか?」
「遅いから置いてきた」
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「あの女、どんな体力してやがんだ」
「・・・実家で朝はトレーニングの時間があるらしいからな」
「はぁ?!トレーニングだぁ?・・・あいつの実家、牧場っつってなかったか」
「早朝業務前に毎日30分くらい、やっていたらしいが、さっき軍人や警官が家系に多かったって言ってただろ」
「それが、どうしたってんだ」
「一般人が考えるようなトレーニングじゃねぇんだろ」
「・・・・はぁー」
「遅かったな。食事の準備なら整ったぞ、めめが手伝ってくれたからな」と理鶯が機嫌良さそうに様子を見に来た。自分たちの到着に気付いた椿が、「運動不足じゃないですか?」と困ったように見上げて来る。2人の後ろからは、相変わらず美味しそうな匂いのする、よくわからない食事が用意されて・・・
「こ、これは」
「サンドウィッチは私の持ち込みですよ」
「貴女がトランクに入れていた荷物」
「そうですよ。そうしなきゃ、私が食べるものないじゃないですか」
「は?」
「理鶯、さっきのチーズ温めるね」
「ああ、そこ火を使ってくれ」
「うん」
椿の言葉にひっかかりを覚えていると、左馬刻が「めめを連れてきて正解だったな」とぼそりと呟いた。確かに、彼女が持ってきた人数分のサンドウィッチは美味しそうで、今用意しているチーズも椿の実家のものだろうから、味は十分に保障されている。ゲテモノの詳細は、まだ聞いていないが少しだけ食欲がわくのがわかる。
「「・・・・・」」
「上官命令だからな。めめに、小官の料理は振舞えない」
「どうしてですか?」
「めめの兄は、小官の上官だったからな」
「いえ、そこではなく。なぜ、振舞えないのかを聞きたいのですが」
「めめと小官は恋仲でもなく、結婚もしていない」
「そうです。未婚の女性は、恋人未満の男性の手作り料理を食べてはいけないルールです。購入は例外です。」
「「(そんなルールねぇよ)」」
そんなルールは存在しない。
だが、それは間違いなく同じ状況になった椿家で可愛い妹を護るために兄が付いた嘘なのだろう。それを彼女は知っていたから「大丈夫ですよ」と答えたのだ。しかもそれを理鶯が今でも律儀に護ってくれることを予想した上で。そんなもの、もちろん否定できるわけがない。左馬刻も何か言いたそうにしているが、「そうかよ」の一言で済ませた。
「うめぇな」
「椿のチーズは変わらず美味だな」
「サンドウィッチも美味しいですね」
「口に合って良かったです」
「・・・逆はいいのかよ」と隣でぼそりと言った左馬刻の言葉に心の中で同意しておいた。妹のいる彼からすれば、自分の妹が他所の男に手料理を振舞うのは不満があるらしい。
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