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悩み事があっても親には相談できなかった。不思議と友人にも言えず、最終的に光太郎に愚痴を言った。私の悩み事は姉のそれに比べたら酷く小さなものだからと母は、そんなことで悩んでどうするのと、ちゃんと話を聞いてくれなかった。母は悪気があってそう言ったわけじゃないのはわかる。それでも、話くらいはちゃんと聞いてほしかったし、姉にばかり構わないで自分にも構ってほしいと小学生のころは特に思っていた。今は慣れてしまったからか、あまり気にならなくなった。
春休みに赤葦に電話をした時。姉は家にいなかった。姉の彼氏が家に来る予定もなかった。だから、理由らしい理由もないけど、部活の途中や帰りではなく会いたいと思って電話をした。数コールの後に聞こえてきた落ち着いた声に肩に入っていた力が抜けた。
「遊んでくれたのが元彼なら、赤葦は構ってくれる人だね」
「・・・は?」
「光太郎はサンドバッグ」
「ふっ、なんだそれ」
食事終わりのデザートに手を付けながら、ちらりと赤葦を見てまた視線を下した。同じ年なのに赤葦の方が上に見えてしまうのはなぜだろう。やはり落ち着いた雰囲気と、しゃべり方だろうか?
「今日は、家に姉も姉の彼氏もいません」
「・・・・」
「両親は家にいます」
「・・・・」
「怒る?」
「どうして?」
「理由らしい理由もないけど、赤葦に構ってほしかった」
「・・・・・」
「って言ったら?」
「なら最初からそう言えば、もっと早い時間から構ってあげたのに」
「え?」
「木兎さんから聞いてない?今日、体育館整備で早めに部活が切りあがったって」
「・・・そんなに光太郎と連絡取らないし知らない」
「椿から連絡くるの嬉しいし、構ってほしいなら構うよ。木兎さんほどうるさくないし」
「なんで、光太郎と比べるわけさ」
「嫌?」
「嫌」
即答すれば、また微笑を浮かべて、ちょっと似てると思ったと言うのでフォークで刺したばかりのシフォンケーキがお皿に落ちた。確かに一番ばれる可能性があるのは、赤葦だと思っていた。だからばれないように光太郎には散々念押しをして口止めをしたというのに・・・ここしばらく気を抜きすぎていたのかもしれない。
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