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「赤葦ちょっと」
「?」

後ろから背中をつつかれ、振り返れば、真面目な顔をした椿がこちらを見上げていた。

「後で話があるので、時間ください」
「いいけど、部活の前でいい?」
「うん」
「わかった」

期待はしないが、何か話すことがあっただろうか?真面目な話・・・ここしばらく特別何もなかったが、何か相談だろうか?ここで話せない理由はなんだろうかと1周考えて見当がつかなかった。


「それで話って?」
「うん、今からする話は誰にも言わないで」
「うん」
「赤葦なら大丈夫だって信頼してる」
「それは、どうも」
「それで、本題」
「うん」
「私の母親と光太郎の母親は姉妹です」
「・・・・え?それって、木兎さんと従兄妹ってこと?」
「い、いえす。さすが赤葦、早いご回答で」
「・・・・・・はぁー」
「盛大なため息、どうも」
「真面目な顔するから、何かと思ったら」
「こっちは今後の学校生活かかってんだから」
「それなら、そうと言ってくれればいいだろ。1年の冬のときとか」
「光太郎が言うと、周りにばれる」
「・・・まぁ、確かに。木兎さんの内緒話の範囲は広いから」
「そ、それだけ、じゃぁ」
「ねぇ、椿」
「どうして、俺に言おうと思ったの?」
「光太郎が赤葦には言っとけって、いつになく真面目に言ってきたから」
「それだけ?」
「それだけじゃないけど、それだけってことにしといて」
「・・・・ふっ、なんだそれ」

走り去りながら手を振って道場の方へ向かった椿が、これ以上詮索するなというように慌てていたのには、期待してもいいのだろうか。いや、前から椿はそんな言動があった。些細なやり取りを楽しんでいるような素振りを自分も楽しんでいたところがある。そんなところをかわいいと思う自分がいるのも知っている。

しかし、従兄妹とは・・・。あの言い方からすれば、その関係がばれたことで不便が生じたことがあるのだろう。見た目は、どこも似ていないのに、たまに言動が似ていたのはそのせいか。従兄妹とはいえあそこまで仲がいいのも珍しい。少なくとも自分の周りにはいなかった。

「赤葦!!今日もいいトス頼むぜ」
「・・・・」
「どうかしたか?」
「いえ」
「なんだ、腹でも壊したのか」
「違います」
「変なもの食ったのか」
「違います」
「あ、そうだ赤葦」
「何ですか」
「お前も、新零のことかわいいって思うだろ」
「・・・・なんですか突然」
「この前、あいつが俺の前でもちゃんとかわいいかって聞いてきたんだけど、なんでだと思う?」
「知りませんよ」
「だよな、俺もわからなくてよー」
「でも、椿のことは、かわいいと思いますよ」
「だろ!!だよなぁ!!なんか安心した!!早く着替えようぜ」

なんとなく、話がつながってきた気がする


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