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「赤葦」
「何」
「最近、私、モテなくなったっぽい」
「みんな正体に気付いたんじゃない?」
「ひどっ」
「・・・面倒くさがってただろ」
「そうだけど、私のモテ気も終わったのか、と思ってたんだけどさ」
「ん?」
「久しぶりに呼び出された」
「・・・・・」
「中学のころはさぁ、連絡先を知らない場合が多くてさ、何か伝えようと思ったら直接とか人か手紙とかで間接的に呼び出すしかなかったじゃん?今はスマホとかで連絡取れる範囲で付き合ったりとか多いよね。直接言わずに、メッセージだけとかさ」
「時代が時代だからね」
「うん・・・。私の連絡先なんて知ってる人限られてるからさ、みんな直接来るんだけど」
「・・・・・」
「行かないって言ったらさ、迎えに行くって言われたんだけど、どうしたらいい?」
「俺に聞くこと?」
「赤葦、私の相談役でしょ?」
「木兎さんのお目付け役で手一杯」
「また、光太郎?光太郎ばっかりずるい、私にも構って」
「前にも言ってたけど、椿の言うその構ってって何」
「ん?」
「遊んでくれると、構ってくれるの違いは?」
「一緒にはっちゃけるのが遊んでくれる」
「?」
「私の中の区別は、遊んでくれるは全身全霊私に全部向けてる感じ。構ってくれるは、自分の中の余力で相手をしてくれてる感じ」
「・・・・・」
「悪い風に捉えないでね。いい意味で言ってる」
「そうは聞こえなかったけど」
「・・・・・元カレが自分のことは蔑ろにして私のことばっかりの人だったんだけど。こっちも疲れるし、あんまり嬉しくなかった・・から」
「うん」
「構ってくれる方が嬉しい・・・私、なんで元カレと比べて・・・・・赤葦、にやにやしないでよ」
「してないよ」
「してる」
「それで、呼び出し行かないと迎えに来るって言うのは、いつ?」
「今日の18時すぎ。部活終わったくらいの時間」
「・・・・・」
「知ってるやつだった?」
「うーん・・・と、どっかで見たことある気がする。去年同じクラスだったかも」
「・・・・・」
「道場の前で待たれたら逃げ道ないんだけど」
「倉庫に出入り口とかないの?」
「ない。いっそ、部活行くの止めようかな」
「いや、今日終わらせた方がいいと思う」
「なんで?」
「今日がダメだからって諦めるような奴だったら、迎えになんて来ないんじゃない」
「・・・・そうかも」

心底面倒くさいという顔をして、机に張り付いた椿を見下ろした。
椿のことをすべて知っているわけじゃない、そんな当然のことが不安になる。当然のように、知らない時間があって、知らない交友関係があって、もしかしたら俺は単なるクラスメイトで、椿の反応に自惚れているだけかもしれない。好きになるのも好かれるのもトラウマだという彼女に、どう動いていいのかわからない。学祭の買い出しで聞いたことが引っかかる。もしかしたら、今の自分と椿と似たような状態だったんだろうか?自分が踏み込んで、その関係を壊した彼女は、今の状況をどう思っているんだろうか。


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