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「なんで私のことべらべら他の人に話すわけ?本当信じられない」
「・・・・・」
「無神経すぎ、昔からそういうところ変わってない」
「・・・・・」
「光太郎のせいで、知らない先輩に散々声かけられるし」
「・・・・・」
「気安く、新零ちゃんって呼ばれるし」
「・・・・・」
「お前に名前で呼ばれる筋合いないしって感じだし?勝手に先輩面すんな」
「・・・・・」
「大体なんで、赤葦に・・・・・っていうか、もう追ってこないでよ!!」
「・・・ごめん」
「・・・・・・・・」
「木兎さんだと思った?」
「・・・・・・・お、思った」

勢いよく振り返った椿に、思わず謝ってしまった。
走っていった椿を追うために、木兎さんに持っていた鍵の返却をお願いした。そもそも、本来はあっちの仕事であり、俺の仕事ではない。

「家、そっちじゃないだろ」
「お姉ちゃんが、あと1時間帰ってくるなって」
「・・・・・どこ行くつもり」
「いつも行く、喫茶店」
「わかった」
「え、」
「俺も行く」
「・・・・・・」
「嫌なら帰るけど」
「・・・勝手にすれば」
「そうする」
「・・・・・」

黙って歩き始めた椿の横を彼女の半歩遅れて歩き始めた。なんとなく、あの時のことを思い出した。

「・・・聞いてもいい?」
「・・・・・」
「椿が振られた話」
「・・・・赤葦も無神経に仲間入りしたいわけ?」
「木兎さんからのまた聞きより、本人から聞きたい」
「・・・・・・人の傷抉るんだ」
「抉った方が、後で楽なんじゃない?」
「・・・・・なにそれ、魚の目みたい」
「たとえが爺臭い」
「せめて、婆臭いにしてよ」
「ふっ・・・」
「あーあ」
「ん?」
「泣きそう」
「・・・え、早」
「っほら、赤葦だって軽く見てる」
「・・・・・」
「・・・・・」
「少なくとも、木兎さんは軽くは見てなかったよ」
「・・・・・それは、初耳」
「俺は知らないから。小学校のころの椿も、中学の椿も。今の椿しか知らない」
「・・・・」
「だから、知りたいと思うよ。椿が傷ついた話、聞いておきたいって、同じようにならないように」
「行先変更」
「ん?」
「赤葦来るなら、公園にする」
「・・・・・」
「光太郎、ちゃんと鍵返せたかな」
「さすがにそれくらいできるだろ」
「・・・・」
「・・・・」
「そうだよね」

全然笑えていない椿が、曲がりかけた交差点を直進した。彼女の歩くペースに合わせて、学校に置いてきた木兎さんの話をしていた。冗談とはいえ、さすがにしょぼくれて学校の守衛さんに愚痴ってるなんてことはないだろう。でもまぁ、偶然とはいえきっかけを作ってくれたことには感謝しておこう。

椿に連れられて来た公園にはさすがに人はおらず、空いていたブランコにそれぞれ座った。なんか、青春っぽいなと、普段部活という青春に身を投じながらそんなことを思った。


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