03

レジを終えた商品を袋に詰めて、お互いどれを持つかを決めて店を出た。重くない?と度々聞いてくる赤葦に平気だと答えれば、ならいいけどと自分の荷物を持ちなおしていた。そっちこそ大丈夫なのかと聞けば、何言ってるんだという顔を向けられた。人が心配してるのに心外である。

「ちょっと休憩しようよ」
「さっさと教室に着けば、その後いくらでも時間できるだろ」
「・・・・そうですね」
「重いなら、持つから貸して」
「・・・・いいよ、これくらい」

寄り道を許してくれない赤葦と再び電車に乗り込んだ。逆向きの電車は、行きのような混雑はなく気まずい思いもせずにすんで安心した。お互い無言のまま学校の最寄駅まで電車に揺られ、改札を抜けた。

「椿さんって、モテるって本当?」
「・・・なにその不躾な質問」
「いや、クラスのやつとかそう言ってたから気になっただけ」
「何を持ってモテるっていうか知らないけど、告白されることは割とあると思う」
「へぇ・・・」
「なんでこいつなのかって顔したでしょう」
「そんなこと思ってないよ」
「どうだか」
「でも、全部断ってるんだ」
「・・・断ってるよ。断っちゃいけないの?」
「別にそんなこと言ってない。ただ、中学の時は誰でも良かったんじゃないのかと思って」
「別に誰でもいいなんて思ってない!」
「・・・・」
「赤葦は、告白されて好きじゃない女の子と付き合う?」
「・・・知り合いで、好きまでいかなくても、いいと思ってたら考える」
「何それ」

指に食い込んでくるビニール袋の紐が痛くて、持つ手を変えた。別に理由もなく好きでもない人と付き合ったわけじゃない。何気なく聞いて来た赤葦は悪気があったわけじゃないのだろうが、こちらとしてはあまり思い出したくないことだ。確かにその手の話しはしたけれど、掘り下げていいのはそこじゃないのに。

「じゃぁさ、少しは好きな子に告白されて、断る理由ってなんだと思う?」
「それって、断る必要あるの?」
「さぁ?」
「・・・・まぁ、家庭の事情とか?」
「じゃぁ、もし、私が赤葦のことが好きだと言って断る理由って何」
「あんまり椿さんのこと知らないから」
「それでもいいって言ったら」
「バレーの次でいいなら、付き合ってもいいと思う」
「・・・・・・馬鹿じゃないの?そこは、断るでしょ?!」
「なんで、自分で言っておいて照れるわけ?」
「だ、だって、赤葦、私みたいなの好きじゃなさそう」
「仮の話しなんだから、本気にしてどうすんの」
「そ、それはそうだけど!!でもっ」
「まぁ、あんまり知らなかったけど、今日見てる限りなら悪い人じゃないんだなって」
「・・・・・赤葦、私のこと悪いやつだと思ってたの?」
「見た目は清楚そうだけど、ちょっとチャラいと思ってた」
「・・・それは心外」

別にちゃらちゃらなんてしてないし、男遊びしてるわけでもピアスをしてるわけでもない。スカートが短すぎることもないのにと不服な点ばかりだ。そういう自分も赤葦のことを決めつけていたわけではあるが、あまり印象は変わっていない。今は気づいたのか合わせてくれているけれど、最初は気遣いなどなしにさっさと歩かれたのだ、私の我儘かもしれないけれど少しの配慮は欲しかった。あの単細胞でさえ歩くスピードは考慮してくれるのにと思ったのは少し前の事である。あぁ、でも電車のことは、あれかもしれない。

「それ以外の理由、知ってるの?」
「ん?」
「少しは好きな子に告白されて、断る理由。聞いて来たのは、そっち。答えとかあるのかと思って」
「・・・あるよ。でも、言わないでおく」
「あっそ」
「なんでって聞かないの?」
「そこまで興味ないから」
「・・・そーですか!!」
「聞いてほしいなら聞くけど」
「別にいいですよ!!」

こーいうところが、私の中で赤葦を外へ弾く理由だと思う。



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