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今年の私のクラスの学祭は、お化け屋敷だった
お化け役と受付と内装、設定、衣装班、呼び込み係なんてものもあった
夏葵も私も、呼び込み係ということで衣装を着て看板を持って校内を歩く

「去年の男装、すごく良かったから、今年もお願いします!!」とクラスの女の子に頭を下げられ承諾すれば、「こんなのどうですかっ!!」とすでに衣装は提案されていたようだった。
狐の面に黒の着流しかぁ、どんな髪型で化粧にしようかなんて相談するのも楽しくて学祭の雰囲気がやっぱり好きだった。

呼び込みでいろんな教室を周れば、先輩にも会うことができた
ヒールの分だけいつもより先輩の顔が近くで、さらに「椿か?」と覗きこんでくるので、ドキドキと心臓がうるさくなる。夏葵が一緒に写真とってあげるというので、お祭りに乗じて撮ってもらった。
1日目は大体校内をぐるっと遊びながら周ってしまったので、明日は暇になりそうだなぁ・・・もちろん呼び込みはするけども。もしあれなら、受付でもやっていようかな


2つ目の朝に、学校についてからやるのが面倒で部屋で全部用意を整えて出かければ、すごく目立ったけれど、これも宣伝である

「椿さんっ今年も、好評だな!!」
「寿一は、中にいるのか?」
『ありがとう。福富くんは多分いると思う』
「ナァニ、入ンのかよ」
『じゃぁ、3名様ね』

金券を回収して入口を開けた
笑って出てきた3人を見れば、中に福富くんがちゃんといたことがわかる

「せっかくだ、椿さん、写真を撮らせてくれ」
『え、あ、事務所通してからで』
「さっき、女子に答えていただろうが!」

え、何、私単品なの?


今年は、兄たちは来なかった。両親は来てくれたけれど
向こうは向こうで忙しいのだろうから仕方がない・・・、別に来て欲しいわけじゃない

校内も周り終えて受付やっておくからと担当の子に周ってきていいよと場所を変わる
思っていたよりお客さんが来るもので、中々暇にならなかった
写真にも応じていたけれど疲れて来たので斜めにかけていた狐の面を顔を隠すようにかけたところ、友達、知り合い以外に声をかけられることはなかった。思っていたより、その方が雰囲気が出ていたのかもしれない・・・怖そうと前を通って行くので客は減るかもしれないけれど、中も疲れて来ていたので、まぁいいかと思う。
玩具の番傘をさしてみたら、さらに相乗効果だったようだ

「椿?」
『・・・・・』
荒北が、何を思ったのか受付の空いている席に座った

「まだ福ちゃん終わらねぇの?」
『・・・・・・・・・』
「おいっ聞いてんの?」
『もう、何。』
「だから、福ちゃん」
『あと、15分くらいじゃない?・・・・ねぇ、お化け屋敷にヤンキーはいないんだけど』
「誰がヤンキーだァ?」
『ほら、ここにいる』
「っせ」

「お、椿!!来たぞ」
『先輩、来てくれたんですか』
「3人な」
面をずらして、金券を受け取った

「何の先輩?」
『図書委員』
「へぇ・・・・・・お前、あーいうやつ本当好きだな」
『・・・・・・うるさい』
「中学ン時もそうだったろ」
『・・・荒北に関係ないってば』
「お前、わかりやすすぎ」
『う、うるさい』

面で顔を隠して、息をつく
学祭もあと2時間くらいか・・・福富くんの当番ももう少しで終わるし
そうすれば、荒北もいなくなるので
そうしたら、ゆっくり店番でもしていればいい
飲食系は在庫が無くなったら終わりだから、ぎりぎりで金券を使い切るのに体験型のクラスは最後もまでやる価値がある

先輩がクラスを去るのを見送って、番傘を立てに化粧を確認する
少し、女っぽくしようかなぁと目元のメイクを修正していく。薄くしていた口元も、女っぽくなおした

「新零?」
『夏葵お帰り』
「何、荒北くんと仲良く座ってんの?」
『仲良くないっ!!福富くん待ってるんだってさ』
「あれ、メイク変えたの?」
『うん、暇だったし。変じゃない?』
「変じゃないどころか、急に女っぽくなったからびっくりしてる」
『そんなに違うかな?自分の顔だからわからないけど』
「ねぇ、荒北くん」
「は?!」

急に振られて驚いたのか、そっぽを向いていた荒北がこちらを振り返った
「新零、さっきと違うでしょう?どうよ、男子から見て」
「・・・・し、知るかヨ。お前が何しようと変わんねぇ」
『それは、ない。いいよ、荒北にも化粧してやろうじゃないの』
「あ゛?!バァカっふざけんな!」
『ほらほら、こっち向いてよ』
アイライン片手に荒北の片腕を掴んで振り向かせれば露骨に払われて机がガタリと音を立てた
「荒北、何をしている」
「福ちゃん、」
『・・・福富くん待ってるって聞かなくってさ』
「ガキみてえぇな言い方すんじゃねぇよ!!」
『事実じゃない』

空いた席に座った夏葵が去って行った2人の方を見ているので、どうかしたのだろうか
化粧道具を片付けて面を横にかけ、番傘を畳んだ

『どうかした?』
「なんでもないけど・・・なんかさ」
『うん?』
「いや、何でもない」
『何それ、気になるじゃんか』
「新零って、荒北のこと嫌いなの?」
『嫌いだけど、なんで』
「声違うなって」
『そう?』
「気持ち普段より低くて、機嫌悪そう」
『昔色々あったの』
「えー、その話聞いてない」
『だって、話してないもん』

これ以上聞かれたくなくて、適当な呼び込みを始めた
夏葵が「話したくないなら、無理に聞かないけどぉー」と少し不服そうに一緒に呼び込みを始めた。



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