16 どうして好きなのかと聞かれて、上手く答えられる人なんてあまりいないと思う。優しいから1つとっても、自分に対してなのか、みんなに対してなのか、よく笑うや、明るいだとか、よくある褒め言葉のようなそれを言っても、じゃぁ、あの子も優しいし明るいよ?と言われても、じゃぁあの子も好きとはならない。 容姿に関しても、かわいいから、かっこいいから、胸が大きいから、小さいから、スタイルがいいから・・・好きな子と同じ言葉の当てはまる子を2、3人並べても、やはり好きな子を選ぶ。結局、じゃぁなんで?と突き詰められたら答えられなくなる。あの時こうしてくれたから、じゃぁ、違う人にそうされても好きになったの?と聞かれても困る。体験していないことに対しては答えられない。好きな人がすでにいるのならなおさらだ。 どうして先輩が好きなのかと聞かれても結局のところ、好きだからとしか言えない もともと、文系男子が好きなのは、自分と違って大人しい人に魅力を感じたからであり、 長兄と似た、黒髪で眼鏡の似合う長身の男の人。本が好きなら、なおさらいい。初恋が自分の兄だとは誰にも言っていないけれど、その好きが、本当の意味で好きなのか、それとも憧れなのかは、未だによくわからない 「乙女の悩みは尽きないねぇ」 「本当、そんなに好きなら、さっさと告白しないと。先輩卒業しちゃうよ」 『そーだけどぉ・・・』 「ダメもとで言っちゃえ」 『だって、言ったら、卒業まで上手くやる自信ない』 「でも本当に、どうするか決めないとだめだって」 そんな話を、ここ数日毎回しているような気がする 会話が途切れるたびに話を振ってくる2人を少しだけ恨めしく思う 「あ、そうだ」 『何、夏葵』 「荒北くんの話、聞きたいなぁ」 「何々、荒北くんの話しって」 『あれは言わないってば』 「いやぁ、あれはいいもの見れたっていうかさぁ」 「ちょっと2人で話進めないで、ちゃんと説明してよっ」 それがさぁと話し始めた夏葵の説明を聞きながら、百合の目が輝くのがわかる。できれば触れてほしくないのだけれど、これは逃げられそうにない 「それって、荒北くん、新零のこと好きなんじゃないの?」 「だよね、百合もそう思うよね」 『は?』 「新零のメイク直した後の反応とか、腕払ったときとかさ。あとあの荒北くんが、わざわざ女子の隣に座るとは思えないし。いくら福富くん待ってたって言ったってさ、その時間まで他にいる場所あっただろうし」 『ないない、ありえない』 「そう思ってるのは、新零だけじゃないの?」 『人を男子トイレに閉じ込めて、おとこおんなだの、キモイだの言ってくるやつだよ?ありえない、絶対ありえない。そうだとしても、私許すつもりない』 「うわぁ、荒北くん、あんたにそんなこと言ってんの」 『・・・・・』 「でも、それってさぁ」 『ごめん、私、部屋戻るね』 2人には悪いけれど、これ以上は話したくなかった それのどこか、そんなに嫌だったのかなんて、嫌なものは嫌だとしか言えない 「荒北くんが新零に言ったのって、小学生の時だよね?」 「たぶんね、中学ではほとんど話していないって言ってたし」 「やっぱりさ、それってただの照れ隠しじゃないのかな」 「・・・そうだよね、私もそう思う。でも新零が怒ってる理由もわからなくもないからなぁ」 「コンプレックス馬鹿にされたようなもんだもん。でもさぁ」 「ん?なんだい百合ちゃん」 「それだけなのかな?って」 「?」 「私らは、その前後に何があったのか知らないからわかんないけど、新零があれだけ怒ってる理由ってまだあるんじゃないかなって」 「・・・・そうかも。新零、あんまり怒らないし。まして6年以上引きずってるんだし」 「まぁ、荒北くんは自業自得か」 ←→ 目次 |