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どうして好きなのかと聞かれて、上手く答えられる人なんてあまりいないと思う。優しいから1つとっても、自分に対してなのか、みんなに対してなのか、よく笑うや、明るいだとか、よくある褒め言葉のようなそれを言っても、じゃぁ、あの子も優しいし明るいよ?と言われても、じゃぁあの子も好きとはならない。
容姿に関しても、かわいいから、かっこいいから、胸が大きいから、小さいから、スタイルがいいから・・・好きな子と同じ言葉の当てはまる子を2、3人並べても、やはり好きな子を選ぶ。結局、じゃぁなんで?と突き詰められたら答えられなくなる。あの時こうしてくれたから、じゃぁ、違う人にそうされても好きになったの?と聞かれても困る。体験していないことに対しては答えられない。好きな人がすでにいるのならなおさらだ。

どうして先輩が好きなのかと聞かれても結局のところ、好きだからとしか言えない
もともと、文系男子が好きなのは、自分と違って大人しい人に魅力を感じたからであり、
長兄と似た、黒髪で眼鏡の似合う長身の男の人。本が好きなら、なおさらいい。初恋が自分の兄だとは誰にも言っていないけれど、その好きが、本当の意味で好きなのか、それとも憧れなのかは、未だによくわからない

「乙女の悩みは尽きないねぇ」
「本当、そんなに好きなら、さっさと告白しないと。先輩卒業しちゃうよ」
『そーだけどぉ・・・』
「ダメもとで言っちゃえ」
『だって、言ったら、卒業まで上手くやる自信ない』
「でも本当に、どうするか決めないとだめだって」

そんな話を、ここ数日毎回しているような気がする
会話が途切れるたびに話を振ってくる2人を少しだけ恨めしく思う

「あ、そうだ」
『何、夏葵』
「荒北くんの話、聞きたいなぁ」
「何々、荒北くんの話しって」
『あれは言わないってば』
「いやぁ、あれはいいもの見れたっていうかさぁ」
「ちょっと2人で話進めないで、ちゃんと説明してよっ」
それがさぁと話し始めた夏葵の説明を聞きながら、百合の目が輝くのがわかる。できれば触れてほしくないのだけれど、これは逃げられそうにない

「それって、荒北くん、新零のこと好きなんじゃないの?」
「だよね、百合もそう思うよね」
『は?』
「新零のメイク直した後の反応とか、腕払ったときとかさ。あとあの荒北くんが、わざわざ女子の隣に座るとは思えないし。いくら福富くん待ってたって言ったってさ、その時間まで他にいる場所あっただろうし」
『ないない、ありえない』
「そう思ってるのは、新零だけじゃないの?」
『人を男子トイレに閉じ込めて、おとこおんなだの、キモイだの言ってくるやつだよ?ありえない、絶対ありえない。そうだとしても、私許すつもりない』
「うわぁ、荒北くん、あんたにそんなこと言ってんの」
『・・・・・』
「でも、それってさぁ」
『ごめん、私、部屋戻るね』

2人には悪いけれど、これ以上は話したくなかった
それのどこか、そんなに嫌だったのかなんて、嫌なものは嫌だとしか言えない




「荒北くんが新零に言ったのって、小学生の時だよね?」
「たぶんね、中学ではほとんど話していないって言ってたし」
「やっぱりさ、それってただの照れ隠しじゃないのかな」
「・・・そうだよね、私もそう思う。でも新零が怒ってる理由もわからなくもないからなぁ」
「コンプレックス馬鹿にされたようなもんだもん。でもさぁ」
「ん?なんだい百合ちゃん」
「それだけなのかな?って」
「?」
「私らは、その前後に何があったのか知らないからわかんないけど、新零があれだけ怒ってる理由ってまだあるんじゃないかなって」
「・・・・そうかも。新零、あんまり怒らないし。まして6年以上引きずってるんだし」
「まぁ、荒北くんは自業自得か」


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