17 「椿っ!」 『!』 「今日は、当番だな」 『そうですよ』 「あのPOPいいな、俺の指示したとおりパーフェクトだ」 『ありがとうございます』 「それで、恋煩いはどうなった。いいぞ、先輩が聞いてやる」 『・・・・・・』 「どうかしたのか?・・・・わかった、お前、身長のこと気にしてるんだろ」 『え』 「なんだ、図星か。お前、そんなこと気にする必要ないんじゃないか?お前より高い女子だっているし、背が高くてモデルみたいなやつが好きな男もいるだろう?それに、外見より中身が重要だからな!性格重視だ」 『参考までに、先輩はどうですか?』 「俺は、身長なんか気にしないな。180あればたいてい自分より下になる」 『実際180ないですけどね』 「お前、人が気にしているところを!」 『・・・わかりました。ありがとうございます』 「じゃぁ、俺は授業に行ってくる」 『授業・・・?』 「受験対策ってやつ」 『あぁ・・なるほど。お疲れ様です』 図書室を出て行く先輩に手を振って、ぎゅっと握っていたスカートをやっと開放することができた 聞いてしまった・・・不審がられてないかななんて、もう終わってしまったことだ、どうしようもないじゃないか。項垂れていても仕方がない・・・仕事しないとな 「椿さんって図書委員だったんだな」 『新開くんっ?!』 「どうかしたか?」 『いや、何でもないけど。貸出?』 「あぁ、頼む」 『意外、本読むんだね』 「まぁな、時間があるときに。ここ最近色々あって読めなかったけど、久しぶりに読もうと思って」 『そっかぁ、意外とか言って、ごめんね』 「いいよ。気にしてねぇし」 貸出印とバーコードの確認をして返却日の書いた紙を本に挟んで渡した もしかしたら、さっきのやりとき聞かれたかもしれないと焦ったが特に何も聞いてこないので大丈夫だったと信じたい。 『・・・・・』 後輩としか見られていない残酷さと もしかしたら、考えてもらえるかな・・・なんて、淡い期待とで、頭の中がぐるぐると気持ちが悪い 図書室の片づけと戸締りをし、準備室の先生に鍵を渡して今日の仕事は終わり。1週間残りあと1日、それが終われば次の当番が回ってくるのは3学期か。高校生活も半分が過ぎたと思うと、なんだか寂しい。 日が落ちるのが早くなってきたので、灯りが付いていない廊下は少し暗く、時間的にも校舎に残っている生徒は少ないから静かで怖くなる。普段人の多い場所は、人が少なくなるとなんだか違うところに来たように感じてしまうから不思議なものだ。 階段を下りたところで、会話が聞こえてきた 盗み聞きなんてダメだと思いながらも、先輩の声に足を止めた 「お前、鈴村のこと好きだったのか?」 「好き、まではいかないけど、女の子らしくてかわいいかなって」 「かわいいから付き合うことにしたのか?」 「そうじゃないけど、あ、なんかいいなって。お前だってあるだろ?そういうこと」 「まぁ、あるけどさ。てっきり、あの後輩の子?のこと好きなのかと思ってたんだけど、騙されたわ」 「椿はもちろん好きだよ。綺麗でかっこいいし、」 「じゃぁ、お前、あの子に告られたらどうしたんだよっ」 「え、椿に?」 「そうそう、あの子、お前に気がありそうな感じだったろ」 「椿は、かわいい後輩だから手は出さない。それに、今日、鈴村と話してた時に思ったんだけどよ、小さい子って抱きこんだときにすっぽり収まる感じがさ、なんかいいなぁって。」 「へぇ、そういうもん?」 「おうっ」 「あーあ。お前に先越されるとは思わなかった」 「ふっ、悪いな」 男子って本当、嘘つき 結局、女の子らしくて、小さくてかわいい子が好きなんだ 本当・・・本当・・・・・・・・ 憧れなんかじゃなかった、本当に好きなんだ・・・・・・ 本当に先輩が好きだった ←→ 目次 |