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百合と夏葵の言っていたことが、そのままの通りで
ありえないと思っていたことが現実に起きていて
考えても考えても、何も結論はでなくて

荒北に、そんな風に言ってもらう理由が私にあるのかもわからない
でも、最初の時みたいに、少しぶっきらぼうで、照れくさそうにしているのは懐かしいなぁと思う。膝に貼った絆創膏を指で弄りながら返事を考える、せかす割には待っていてくれるようで、ちらりと様子を窺えば壁に背を付けてあさっての方向を向いている。・・・6年ってどんだけ一途なんだろ
そういえば、自転車のレースで優勝したって福富くんから聞いたっけな。野球だめになって、新しいこと初めて結果を残せるんだから本当にすごい・・・・・・野球部がないから来た荒北と地元の高校の推薦蹴って寮がある箱学に来た私か。これも何かの縁かな・・・


怪我をした膝を少し庇って立ち上がれば、荒北がこちらを見上げて立ち上がった
背を抜かれたのはいつだったかなぁなんて少しだけ視線を上げる

『荒北』
「・・・・」
『いいよ』
「・・・まじで言ってんの」
『まじじゃないの?』
「いや、マジだけどぉ!!・・・いいのかよ」
『そんな自信なかった?』
「っ・・・」
『でも荒北のことを、そういう風に意識したことないし、すぐに変われるかわからないよ。キスも、そういうことも今はできない』
「わーってる」

言葉はぶっきらぼうなくせに耳も赤いし嬉しそうに見えて、なんだか嬉しいけれど、私が好きになるなんて保障もないのにな・・・?そわそわとする荒北を不思議に思って声をかければ、「どこまでいーい?」なんて、聞いてくる。こいつこんなにかわいい奴だったか?もしかして返事をせかしたのも照れ隠しなんだろうか・・・

『これくらいなら、いいよ。仮にも付き合ってるんでしょう?』
「なっ?!」

ハグくらいならいいかなと思って荒北の背に腕を回せば、すぐに頭と背に手が回りぐぐっと距離が近くなって自分からしておきながら、顔が熱くなるのを感じる。兄たちとは違う感覚に、どきどきと心臓が音を立てるのがわかる

「新零チャン」
『・・・ん?』
「早く、俺のこと好きになってヨ」
『・・・っ』
「そしたら、楽になっからさ」
『自信ないんじゃないのっ』
「っせ、つーか、お前細過ぎんだよ」
腰に周った手に驚きつつ背中をペタペタと触る
『荒北に言われたくない』
「あ?何キロあんの」
『女子に体重聞くとか、御法度なんだけど!もう、放してっ』
「ダァメ。まじで今は勘弁しろ」
『なんで、言われると気になる』
「気にすんなっ!」

さらに力を入れられて恥ずかしくなってきた
高校に入ってからも、冷たく当たっていたにもかかわらず好きでいてくれたのかと思うと、見た目と言葉とは裏腹に、かわいいやつなのかもしれないと、思った瞬間に全身に走った鳥肌の原因はまぎれもなく目の前の男のせいだった

「新零チャン、耳弱いのォ?」
『な、何してんのっ・・』
「耳齧っただけだろ」
『だけじゃないっ』

荒北から離れようとして胸板を押すものの、スポーツをやっている男子というのは侮れずびくともしない。それでも抵抗を繰り返しているうちに向こうから離れてくれた。何をするんだと睨めば、ニヤリと笑った荒北が顔赤いネ、なんて言ってくるから。なんだか悔しい

「アドレス教えて。新零チャン」
嬉しそうに携帯を制服のポケットから出す荒北に、不覚にもどきりとしたのは黙っておくことにした。



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