31 「新零、男が出来たらしいな」 『秋都兄・・・』 「なんだ、まだ俺と結婚するとか言うのか?」 『言いたい』 「そりゃぁ、嬉しい」 「秋都兄じゃなくて、俺にしとけ」 『和希兄はいい』 昔から、新零は俺に懐いてくれなかった・・・と思ったのだが、どうやら逆のようで恥ずかしがっているのだと母に言われたときは、かわいいやつだなと思った。大学進学で家を出たのが18だ、つまり新零はまだ8歳だったこともあって、兄というよりも親戚のような関係になってしまった。千昭と新零も5つ違う。少し歳の離れた妹の新零は、みんなに可愛がられていた。小さいころは新零ばかり構うせいで千昭が拗ねることもあったが、なんだかんだ上手くやってきた。俺たち3人の中に入りたそうにしている新零を上手く呼び寄せるのが和希だったし、一番兄妹らしくやっているのは千昭だろう。その千昭の後ろにいつも隠れていたのが新零だった。同世代の女の子たちと違って、かわいいものの感覚違ったせいか和希や母に色々言われていた時期はひねくれていたし、父ではなく俺のところに泣きつきに来ることもあった。それが、ちゃんとした1人の女性になったのだから、なんだか嬉しい。と、兄弟に話せばおやじ臭いと言われた。寡黙な父はいつも笑っていたし、明るい母は、俺たちとは違う新零の子育てに苦労しながらも上手くやっていたのだと思う。騒がしい我が家だけれど、自分も結婚を決めてから家族というものについて考えるようになった。 「優月が、新零のことを綺麗な妹だって褒めてたぞ」 「やめとけ、秋都兄。こいつ、優月さんに妬いてんだよ」 『別にそんなことない』 「お前泣いたんだってな」 『泣いてない!!』 昔から泣き虫なところは変わらないか。俺たちが構いすぎたせいか甘えたがりで淋しがり屋でまさに末の妹という感じだった。そのくせ、俺たちを見て育ったせいか容量もよくテキパキとこなすようになった。千昭が器用になったのも、和希と新零に挟まれたからかもしれない 「そういや、お前、靖友のこと荒北って呼ンでんのかよ」 『うん』 「昔は名前で呼んでただろ」 『そうだけど!!色々あったんだってば。まだ返事してないし』 「秋都兄、こいつ、靖友と付き合ってるくせに自分が好きになるまでキスもセックスもしねぇって言ってんだぜ。あいつよく耐えれるよな」 『千昭兄、余計なこと言わなくていい』 「こんないい脚してんのに、触らねぇなんて」 『この変態兄貴がっ』 「どうだ、胸は少しはでかくなったか」 『うるさいっまじ千昭黙れ』 新零もおそらく一番気を許しているのは千昭なのだろう。暴言を吐きつつも、脚も触らせるし後ろから抱きつかれても本気で殴ったりはしない 『やだ、ちょっとブラずれるっ』 「千昭、新零に何してんだよ。嫁入り前の娘に変なことすんじゃねぇよ」 「和希は、新零に嫁に行ってほしくないんだろ。このままいくと、あいつんとこ行くんだぜ」 「・・・・・新零、やっぱり考え直せ。秋都兄似の男探せ。箱学にはいないのか?」 『・・・・この前、振られたばっかりじゃぼけ。和希兄の馬鹿』 「新零が振られた?名前教えろ、俺が1発殴ってくる」 「和希、お前どっちなんだよ」 本当に騒がしい我が家ではあるが、帰って来たなぁと落ち着くあたり自分もこの家の人間だと実感するのである。優月は慣れるだろうか・・・いや、あのおっとりとした性格なら問題ないか ←→ 目次 |