32 妹どもは勝手に友達と初詣に行くと言って出かけて行った。親も揃って初詣に出かけた、行くかと聞かれたが、ガキじゃねぇんだからと断った。新年だっつーのに1人で越すことになるとはなぁ・・・なんて、思った矢先に携帯が音を立てた。 『あ、荒北!!』 「寒いつーのに、呼び出すんじゃねぇよっ!!」 『ごめん。嬉しいくせに』 「るっせっ!!」 『ワンコールで電話出たくせに』 「・・・・・」 「じゃ、俺は和希達のとこ戻るからな。靖友、ちゃんと家まで送れよ」 「っす」 『千昭兄ありがと』 初詣に行くから、行かないかという誘いだった。寒から出たくないという気持ちもあったが、椿の誘いを断るのも嫌だった。まさか、あの兄貴たちに囲まれるんじゃないかと思ったが傍に立っていた(多分3番目の)椿の兄は、ただの付添だったらしい。どんだけ過保護なんだか 『今年も色々ありましたが、来年もよろしくお願いします』 「新零チャンは、泣いてばっかだったけどな」 『うるさい』 「事実じゃねぇか」 『千昭兄に余計なこと言ったでしょ。秋都兄に笑われたじゃんか』 「事実だからなァ」 『・・・・・・』 「さっさと行くぞ。つーか人が多すぎんだヨ」 『来たくなかった?』 「そーいう意味じゃねぇよ。ほーら、手かせ」 『・・・・・・』 「迷子になりてぇのォ?」 『それは、困る』 背が近いと手繋ぎやすいんだな・・なんて前を歩いている男女を見ながら思う。・・・手に握ってんのか俺。そういや、こういうのも初めてだ。デートらしいデートなんて1度もした覚えがない。そもそもクリスマスも何も全部部活だった。隣で、兄の話をしている椿に耳を傾けつつ、周囲を見渡す。あいつらも来てんだよな・・・会いたくねぇ。 「新零チャン、もこもこしてんネ」 『ん?だって寒いし』 ニット帽にマフラーにスキニーにブーツとは、肌が見えてんのなんて手と顔くらいだ 「寒いのに、手袋はしてねぇのな」 『・・・・・・・・』 「・・・わざとォ?」 『う・・・千昭兄が』 「へぇ〜」 『荒北の手、暖かい』 「カイロ使うゥ?」 『左のぽっけには入れてるから平気』 「用意周到だネ」 鼻先が赤い、マフラーで口元も隠れているし、手の冷たさからも寒いのだろう。家を出た時間を考えても、もうすぐ年が変わる・・・色々あったな、なんてありすぎて振り返れないくらいある。部活のことも椿のことも 『あけましておめでとうございます。今年もよろしく、靖友』 「・・・良い返事をお待ちしてマス」 『何それっ』 「・・・・・・つーか、お前、今」 『1回しか言わない』 ←→ 目次 |