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『体育、お疲れ様』
「おう」
『・・・うん?』
「ンだよ」
『荒北ってさ・・・』

体育で汗をかいたのか、寒いというのに腕まくりをしている荒北の腕に違和感を覚えて、手を滑らせた
手が冷たかったのか、びくっとして、ジャージの袖を下した荒北に威嚇された

「馬鹿じゃねぇの?!何すんだよいきなり!!!」
『・・・・・・剃ってる?』
「あ゛―・・・・自転車乗るからな」
『足も?』
「・・・今更じゃなぁい?レーパン履いてるときに会ってんだろ」
『自転車しか見てなかったし、違和感なかったから』
「だから、剃んだヨ」
『福富くんも?』
「福ちゃんも」
『・・・・・・・』
「色々と不便だから剃ってるやつが多いンだよ」
『そうなんだ』

荒北が戻してしまったジャージの袖を再びまくって、腕に手を這わせれば「触んなっ!!変態かてめぇっ!!」と振り払われたが、これは中々に嫌いじゃない。なぜ今まで気づかなかった・・・・

「もともと、あんま濃くねぇけどな」
『荒北、』
「ンだよ」
『足も触っていい?』
「・・・お前、変態だろ。絶対触んな!!なんで、そんな楽しそうなんだよっ!!」
『・・・・それとさ、これは、興味があるだけなのだけど』
「あ゛?」
『どこまで剃ってるの?』
「・・・・・・・」

無言で自分の教室に入って行く荒北を見送ってから教室に戻って、福富くんにこっそり聞けば教えてくれた。聞いたことは内緒にしてもらうように頼んだのだが、その時にレーパンの下に下着を履かないということを聞いてしまい衝撃を受けた。これは、野球男子だった荒北にはつらかっただろうな・・・とちょっとだけ同情した。

箱学の寮のお風呂は嬉しいことに温泉を引いているため、肌がツルツルになる。自宅から通っている子でも、家に引いている子もいればいない子もいるので、寮のお風呂に入りに来ることがある。もれなく男子も、その恩恵を受けるわけで・・・

「新零、さっき何してたの?」
『荒北の腕、ツルツルでさ。触ったら怒られた』
「そら怒るでしょうな・・・というか、新零すごく嬉しそうなんだけど、なんで」
『いや、だって。ツルツルっていうか、すべすべだった』
「・・・・・それ、何フェチ?」




「どうしたのだ、荒北」
「いや、なんか視線を感じるつーか、ぞっとした」
「それ椿さんじゃないのか?そこにいるぞ」
「は?別に椿に見られても・・・・」
「・・椿さんとなんかあったのか?」
「いや、わかんね」
「荒北、椿が呼んでいるから行ってやれ」
「福ちゃん、なんか椿の様子変じゃナァイ?」
「・・・・あぁ、そうだな」
「福ちゃん?・・・あいつなんか変なこと言った?」
「・・・・・足が触りたいそうだ」
「「「・・・・・・・・・・・」」」

部活が終わる時間まで待っていたと言えば、散々馬鹿だの、ボケナスだの、変態だの言葉を受けたが気にもならなかった。触りたいとねだって数分、荒北が暴言を吐きつかれたところで折れてくれた。ベンチに座って足を組んだ荒北の足に残る傷痕に、見えない時間を感じた。まだ自転車を始めて2年も経っていない荒北が、中学からやっていた福富くん達と肩を並べるのだから、相当な練習量だったのだろう・・・こういうところが、やっぱりかっこいいなぁと思って眺めてしまった。

「触りたいんじゃねぇのォ?変態が」
『うん・・・綺麗な脚だなって』
「気持ちわりぃこと言ってンじゃねぇよ!!」
『スポーツマンの脚だなって』
「は?」
『かっこいいなって』
「・・・・っせ」
『じゃぁ、私はこれで帰ります。着替えの邪魔してごめんね』

立ち上がって、荷物を抱えなおした

「もう少し、待ってろ。すぐ着替えっから」
『?』
「一緒に帰ろうぜ。新零チャン」
『・・・・うん!』

こんな風に誘ってもらうのは久しぶりだなぁと小学校のころを思い出す。いつも廊下から誘ってくれて、嬉しかったんだよなぁ。久しぶりのあの感覚に、寒い中待っていて良かったと思った。









「靖友、どうしたんだ」
「何でもねぇよ!!」
「何でもなくはないな、どうした。椿さんと何があったのだ?」
「だから、何でもねぇってんの!!」
「怪しいな。顔が赤いぞ、靖友」
「るっせぇな!!椿待たせてっから、邪魔スンナ」
「へぇ、一緒に帰るのか。おめさんが誘ったのか?」
「そーだよ、わりぃかヨ」
「初心だなぁ、荒北よ。そんなことで顔を赤くするとは」
「ちげぇよ!!あんな風にこっち見て笑ってんの久しぶりだったんだよ!!言わせんな!!」
「・・・・・・へぇ、まぁ、確かに椿さんって男子に厳しいもんな。あんま笑わねぇし」
「女子に対しては、よく笑っているのは見かけるがな」
「昔は、関係なしによく笑ってたけどォ・・・」
「荒北のせいか」「靖友のせいか」
「・・・・・・・・・」
「図星だな」
「・・・・・・・」



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