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『・・・・・・』
「・・・新零、」
『なんで、朱里がここにいるの?え?ここ、箱学で、ここ寮だし』
「合宿」
『・・・・練習試合ってこと?』
「そう。練習試合ができて、泊まる場所もあるから、2泊3日でお世話になるの」
『・・・・それは、それは遥々』
「遥々っていう距離でもないけど」
『・・・・・・』
「さっき試合してきたけどさ、やっぱりバレーやってないんだね」
『うん』
「・・・・・ちょっと探したけど、いないなって」
『部活でバレーは、してないよ。球技大会とかではするけど』
「新零」
『何?』

夕食後に、知らないジャージの子たちがいるなぁと不思議に思っていれば、私の地元の高校が合宿に来ていた。確かに、去年もおととしも、別の部活だったり学校の生徒が合宿に来ていた。それが、今年は地元のバレー部だったと・・・。
朱里とは、中学で一緒にバレーをしていたし、仲もすごく良かった。でも、私が高校を決める時にもめて、それから連絡もとっていなかった。あんなに仲が良かったはずなのに、なんでこんなに緊張するんだろう。

「ちょっと別の場所で話そうよ。久しぶりだし」『なら、私の部屋来る?』「お、いいね!」


『朱里さ、やっぱり私の事、怒ってる?』
「今は、全然怒ってないよ。あの時は、恨むくらい怒ってたけど」
『うっ・・・』
「私よりバレー上手くて、私がもらえなかった推薦貰ったのに違う学校行くって言うし。バレー部入らないっていうしさ。何言ってんだよこいつって思ったよ、ふざけんなって」
『・・・・ですよね・・朱里に刺されるんじゃないかと思った』
「ははっ、さすがに刺したりしないって!!本当、そういうところ変わってないね」
『それ、どういうとこっ!!』
「だから、そーいうところだってば!!ま、新零が謝ったりしたら、殴ってやろうかと思ったけどさ。もう、バレーやらないって私の目見て言い切ったからさ、これは何言っても駄目だなって思った。・・・バレー嫌いなわけじゃないんでしょう?」
『うん。好きだよ』
「頑固だなぁ、本当。こうじゃなきゃだめ。これはこういうものだって言い切るところもそう。どうでもいい噂話は信じるくせに、本気で言ってくれてる言葉には疑ってかかってさ・・・そういうところも変わってないんでしょう」
『・・・似たようなこと、荒北にも言われた気がする』
「荒北って、あの荒北?」
『・・・その荒北』
「あ・・・、そういえば、付き合ってるって聞いたんだけど。あれマジなの?大体、あんたこっち帰って来てるなら連絡くらいしてよ!!」
『だって、朱里と喧嘩別れだったから連絡しづらかったし』
「あぁ・・まぁ、そうだけどさ。・・・・何があったわけよ、詳しく話しなさいや」
『そっちの話しも教えてくれるなら』
「・・・まぁ、仕方ない」

少しずつ元に戻れていく、もう怒ってなかったことが嬉しくて泣きそうになった。朱里の話しを聞いて、私の話しをすれば、あんなに嫌ってたのにと驚かれたし、あんたのタイプじゃないもんねと言われた。私、そんなにわかりやすいんだろうか・・・朱里とは中学からの付き合いだから、小学校のころの私と荒北のことは知らないので意外そうに話を聞いていた。

「それで、まだ返事してないの?」
『うん』
「何もされてないの?」
『・・・うん、たぶん』
「律儀だね。中学の後半荒れてたけど、あれも収まったってこと?」
『今は自転車競技部で色々やってるみたい』
「へぇ・・・しかし、荒北とねぇ。え、今の写真とかないの?」
『写真?』
「ツーショットとかないの」
『ない。・・・あ、この前のなら』
「この前のって・・・」

携帯から、この前、新開くんが送ってきた写真を朱里に見せれば、「これ、新零があげたんでしょう!!」と当てられて、驚けば、これ自分が欲しくて買ったんじゃないの?とまで言われ、さすが朱里だとしか言えなかった。

「髪も伸びてるし、ちょっと雰囲気変わったね」
『・・・中学と比べたら余計かもね。高校入った時リーゼントだったし』
「え、何それ」

あれこれ説明すれば、朱里が笑い始めてしまって話が進まない。今頃、荒北の奴くしゃみしてるかもしれないなぁと思って、適当に話を繋げば。で、正直どうなのと聞かれ口を閉じた

「好きじゃないなら、早めに振った方がいいよ」
『好きなんだよ。でも、それが最近わからなくてさ』
「今までは、追っかける方だったもんね新零の場合」
『そうなんだよ。・・・好きになりたいの荒北のこと、特別な友達じゃなくて、ちゃんと好きって言いたい』
「今までと違うから、わからないってか・・・どうよ、キスしたいとか思わないの?」
『・・・一緒にいて満足してる』
「それ以上って思わないのは荒北の押しが弱いんだろうなぁ・・・」
『楽がしたいわけじゃないんだよ。荒北が私のことを好きって言ってくれるから、それに応えれば、もう失恋しなくていいし、あんな苦しい思いしなくていいって、そういうのじゃなくてさ。どう説明したらいい?』
「それ聞かれても、私、新零じゃないし。・・・そーだねぇ、例えばさ」
『お、恋愛マスター朱里ちゃん』
「うるさいっ!!恋愛マスターって何さ、私だってそんな経験してない」
『あらあら、おモテになるくせに?』
「確かに、新零よりはモテた自信はある」
『あー・・・そうですか』「自分でふっといて何よ」『それで、例えば?』

「・・例えば、荒北に髪の毛伸ばしてみたらって言われたらどうする?」
『え・・・?』
「だって、好きで短くしてるんでしょう?」
『うん』
「それを、荒北が長い方が好みだとか、長いところを見てみたいって言ったら伸ばす?」
『・・・・ちょっと考える』
「じゃぁ、他の男子に言われたら、どうする?なんとも思ってない男子に」
『断る』
「でしょう?私が言っても、新零は絶対伸ばさなかったし」
『・・・・・』
「ドキドキして緊張するだけが好きとは限らないんじゃないの?私そんなこと考えてないし、一緒にいて楽しかったから付き合い始めたんだよ」
『・・・・うーん』
「やっぱり頑固だな。新零は・・・・あ、そうだ。明日の練習の後にさ、ちょっとバレー付き合ってよ」
『え?私、何年ブランクあると思ってるの』
「新零とバレーしたい」
『うっ・・・』
「だめ?ねぇ、前みたいにさ」
『・・・・わかった』

ぐぐぐっと近づいてきた朱里に押されて、頷けば。やっぱり新零は押さないとだめだねぇとにやりと笑って、明日も早いからと部屋を出て行った。

もし、髪を伸ばしてほしいって言われたら・・・?
伸ばすかもな・・・

『うーん・・・・』



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