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インハイの結果は、人伝いに聞いた。
勝ち負けに対しての慰めなんて、慰めにならない。ありきたりな言葉は綺麗事にしか聞こえないから、あまり好きじゃない。負けてしまったけれど、すがすがしいくらい良い試合だったなら別かもしれないけれど、それでも悔しさが残る。あくまで主観だから、誰もがそうとは限らないけれど周りの感情よりも、本人が、どう思っているかが大事だと思う。

インハイが終わって数日後に、実家の方で荒北に会った。ちょうど荒北も帰っていたらしくて地元で会うことになったのだ。お疲れ様と言えば、おうっと短い返事が返ってきた。さすがにこの炎天下で立ち話をする気はないため、適当なカフェに入ってお互い注文した物に手を付けた。

「こーいうの、初めてだ。制服じゃないから新鮮な気がする」
「学食じゃねぇからな・・・」
「荒北は、私がヒール履いても何も言わないね」
「言わねぇよ。気にしてねぇし、俺も別に低い方じゃねぇし?」
「それもそうか」
「大体、前からそう言ってんだろ」
「それもそうだね。・・・・そうだ、1年生くんは、大丈夫なの?」
「・・・どーだかな。ま、東堂がなんとかするだろ。クライマーはクライマー同士がいいんじゃねぇの?」
「そういうもん?仲が悪いわけじゃないんでしょう?」
「悪かねぇけど、不思議チャンすぎて何考えてんのかわかんねぇよ」
「ふーん。周りは気にしないって言っても、本人は相当堪えるだろうねぇ」
「さーな」
「・・・・・・・」
「中学の最後の公式試合、負けたんだろ?」
「・・・・・・・負けたよ。なんで?」
「浅野が、あの試合はお前に頼りすぎたつってたけど、椿自身はどうなんだよ」
「・・・そんなことわかんない。確かに、ボールが来る回数が多かったかもしれないけど・・・そんなこと思ったことない。バレーって1人でするものじゃないよ・・・・・むしろ、私の方が自分をコントロールしきれなかった。・・・・試合終了の合図が聞こえて負けたんだって気づいてから、膝が痛くて立てなくて。でも痛さよりも、ずっと負けた悔しさが勝ってた・・・・・っ」

歪んできた視界に鞄に入れていたタオルを慌てて目に当てた。せっかく化粧したのに、落ちてしまうではないか。伏せていた目を開いて荒北を見やれば、椅子の背もたれに身体を預けて上の方を見ているようだった。私が落ち着くまでお互い何も言わなかった、思い出し泣きとはいえ自分でもこの泣き虫を捨てられたらと思う。荒北も泣いたりしたんだろうか・・・?

「さぁ、荒北くんよ。本格的に、大学受験とご対面ですよ」
「・・・・・嫌なこと思い出させんな」
「ふぁいとー」
「覇気のねぇ声だこと」
「私もやりたくない」
「やりてぇ奴なんて変人だろ」
「そう思う・・・?」
「わりぃ、電話」

着信音に反応すれば、荒北だったらしい。話している様子からして自転車部の誰かだろうか、ちらりとこちらを見てから視線を泳がして、またこちらを見た。口の部分を塞いで、ピンポイントに日付を言うので慌てて手帳を確認すれば特に予定もないので暇だと伝えれば話が進んで行った。何があるのかわからないけれど、勝手に話が進んでいき、私には何もわからないまま通話を終了した。

「その日、祭りがあるんだってヨ」
「お祭り?」
「そ、あいつらもいるけど、椿も来るかって」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・祭りがあるから、一緒に・・」
「一緒に?」
「行かねぇか・・・・・察しろよっ!!」
「ちゃんと誘ってよっ!!」
「ちゃんと浴衣着て来いよ」
「えー」
「えーってなんだよ」
「お祭りに着てくような浴衣好きじゃない」
「・・・・」
「・・・・・」
「・・・俺が見たいつってもォ?」
「・・・・・・わかった。ただ、期待しないで」

家に浴衣はないし、その辺で売っているようなやつは好きになれないとなると、背の事もあって、それなりの物を手に入れることになる。子供っぽい柄や、明るい色が似合わないせいか色々と短時間に用意しなければならない・・・

「髪の毛短いから、長髪の子がアップにするみたいな変化見れないのに、見たいわけ?」
「おう」
「・・・似合わないよ」
「似合うだろ」
「・・・・・・でも」
「好きな男落とすわけじゃねぇんだから、あんま気にすんなヨ」
「好きな人にかわいくみられたいって思うのが女子なんだよ、馬鹿」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・すとっぷ、今のなかったことにして」
「だめ」
「だめじゃない、なしなし、今のは世間一般の女子という話」
「自分で消そうとして、それはないんじゃナァイ?」
「なくない」
「・・・・・インハイ終わったろ」
「そーですね」
「新零」
「・・・・・・わ、わかった、わかったから。お祭りの時にして。今日は」
「じゃぁ、そんときな。次は、ねぇから
「・・・・・了解」

さっきまで目を見開いて赤くなっていたのに、今はにやにやと楽しそうにしているから、もやもやとした。浴衣、なんとかしないとな・・・。




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