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「新零もう、泣き過ぎ」
「合唱は頑張って堪えたんだよ」
「はいはい、えらいえらい」
「写真撮るときも」
「うんうん、そうだね。あ、でもこの写真の新零、すっごい不細工」
「あああ・・・ちょっと消しといてよ」
「これもいい思い出じゃない」
「意地悪」
「そんなこと言うと、荒北くんに送っちゃうよ」
「だめ、絶対だめ」

卒業式が終わって、教室で最後のホームルームが終わって。あれだけめんどくさいと言っていた授業はもう受けることもなくて。日中ずっといたあの空間に通うことはもうないのだという実感に新零につられるように泣きそうになる。出会った頃の新零はあんなふうに泣かなかったかなぁなんて思うのは、荒北くんと関わるようになって、付き合うようになって前よりも素直になったからかもしれない。変に自分を作ったりしなくなった。

「百合、何してるの?」
「ん?新零と夏葵と会えてよかったなぁって」
「何々今更?新零に感化された?」
「そーかもしんない」
「私のせい?」
「あー新零が百合のこと泣かせたー」
「え?え?なんか、ごめん百合」

慌てている新零の鼻をつまんで笑ってやる。しかし、本当、新零が荒北くんが付き合うなんて最初は思ってもみなかった。私だって、自分の背の高さが嫌だったことはあった。もうずっと付き合ってる彼氏が背が高いから考えなくなったし、彼の言葉のおかげで気にしなくなった。だから、新零もそう思えるようになるといいなと思う。
奥に見える荒北くんが新開くんに背中を押されているのを見ながら、夏葵に目配せをして新零の向きを変えて背中を押してやった。校庭に出てくるまで荒北くんと一緒にいたみたいだし、今くらい私達に時間くれたっていいのにと息をついた。

「ねぇ百合」
「夏葵どうかした?」
「なんか、新零達見てたら、私も恋しようかなぁって」
「何々、好きな人でもできたわけ?」
「・・・そ、それは」
「詳しい話は、夜にじっくり聞かせてもらいましょうかねぇ夏葵さん」
「・・・・」
「小野原、さっきの今週中に返事頼むな」
「え・・あ、うん」

理系クラスのバスケ部、元キャプテン。名前までは覚えていないけれど顔の良さと背の高さには覚えがあった。夏葵の様子を見ていると、これはもしや告白されたな・・・・と、にやにやしていると珍しく顔を赤くして視線を逸らしながら「詳しくは夜話すから」と小さな声で言われた。ついに夏葵にも春がくるみたいでなんだか私も嬉しくなった。


「やっぱ俺らの学年の1番有名なカップルって、あいつらだよな」
「荒北の1年の時の印象強すぎて、その後も目立ってたしな」
「椿さん、髪の毛伸びて、大人っぽくなったよなー」
「学祭はマジびっくりしたわ」
「つーか、あいつらっていつから付き合ってんだろうな」



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