3学期が始まって、バレンタインシーズンに向けて
女子の恋話に花が咲く
そんな時期に、思わぬことが起きた

「俺、椿のこと」
『・・・・・』
「前から好きでさ・・・」
『・・・あ、ありがとう?』
「もし、良かったら付き合えたらって」

顔も名前も知っているけれど、それほど関わった覚えはなくて
受けるには、相手を知らなさすぎた

『あー・・えっと、ごめんね』
「・・・だよな、俺、お前とあんま背変わらねぇし、嫌だよな」
『そうじゃなくて、私、藤崎くんのことあんまり知らないし。お付き合いはちょっと』
「まじで、じゃぁ、試しに付き合うとか考えてくれない?」
『えっ?!』
「変なことしねぇからさ、その、そういうこととかキスもしないから。これ、今度一緒に行ってほしい」
『・・・・・・・・』

「なるほど、それで押し切られたのか」
『うん』
時間と場所を言われ、チケットを押し付けられて寮に戻り、2人に“どうしよう”と泣きついたのである
「でも、試しに付き合って上手く行けば、ちゃんと付き合っちゃえば?藤崎って結構顔いいんでしょう?」
『・・・悪くはないと思う』
「まぁ、新零のタイプではないね。バリバリの運動部だし理系って感じする」
『どうしよう・・・』
「まさか、行かないつもり?」
「受け取っといて、それはかわいそうじゃないの?」
『・・・・・男子と2人で出かけるとかしたことない』
「え、そうなの?男子と野を駆け回ってたんでしょ」
『ちょっと、夏葵その言い方は酷いよっ!!』
「だって新零がいつになく女の子の顔してるから、弄ってやりたくて」
『うっ・・・・』
「行ってこい行ってこい」
「嫌なら、はっきり断ってくればいいじゃん」
『それもそうだね・・・』

映画館と美術館のチケットを眺めながら息を吐いた
どっちも興味があるものだけれど、藤崎くんは美術館なんて興味あるんだろうか
イメージ的に合わないと言ったら失礼かもしれない
服はどうしよう・・・いや別に好かれたくて行くわけじゃないんだから
いつも通りでいい、靴もメイクも全部いつも通りで
向こうが、気に入らないならそれでいい





「あれ、椿さん?」
『新開くん』
「こんな寒い中、出かけるの?」
『うん、ちょっとね。これから部活?』
「そうだよ」
『自転車って、冬はやっぱりオフなの?』
「まぁな、メインは夏だけど冬でも走るっちゃ走るな」
『そうなんだ』
「・・・椿さんヒール履いてる?」
『うん。背が高くても、履きたいもの履きたいから』
「通りで、近いと思った」
『やっぱり、男子って気になるの?』
「ヒュウっもしかして、椿さん、これからデートか?」
『っち、違っ』
「図星か。そうだな、俺はあんまり気にしねぇけど気にするやつは気にするんじゃないか?むしろ、椿さんは自分より低い男とかどうなんだ?」
『好きになったら多分気にしない。でも理想は、自分と同じか上がいいけど』

部活に向かう新開くんと別れて、待ち合わせ場所に向かった。





「新開、何をしていたんだ」
「悪い、寿一。途中で椿さんにあってさ、デートだって言うから少し話してた」
「?!」



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