2 「すまないな、ニーナがまた」 「あちらで話しこんでらっしゃいますね」 「ニーナは顔が広いし、多くの人と話すのが好きでな。人の集まる場ではいつもそうだ」 「素敵な方ですね。まだお会いして数時間しか経っていませんが、町の人への対応もここでの対応も」 「・・・・・・」 「ラジ王子?」 「ニーナは14の時に邸を出て6年間、各地を旅していてな。だからか、貴族としての振る舞いと町の者への振る舞いとを上手く切りかえている。それだけじゃない、場面場面で憎らしいほど上手く立ち回る」 「6年間旅って・・・お1人で?」 「17までは従者がいたから2人だが、死に別れてからは1人で旅をしていたそうだ」 「・・・・・」 「随分とたくましいが、」 「?」 「いや、こちらの話しだ」 「ラジ王子とニーナさん、とても仲が良さそうだった。こっちが見ていて温かくなるような雰囲気っていうのかな」 「家柄も本人も文句なしだし、側近というより妃候補なんじゃない?」 「え?!」 「仲もいいし、あの雰囲気は将来的にはって感じがする」 「言われてみれば、そうかもしれない」 「お嬢さん、仲良くしておいた方がいいんじゃない?」 「うん。私もニーナさんから色々な話聞いてみたい。旅の話とか、立ち振る舞いとか」 「いや、そういう意味じゃないんだけど・・・まぁ、いいか」 「うん?」 夜会の時間が近づいたため、部屋に戻っている王子たちの迎えに別塔へと来た。オビは、衛兵の様子がどこかおかしいというが特に何か起きている様子はない。 「ニーナさ・・ん」 「あ、白雪さんもドレスなのね。とても素敵」 突き当りの曲がり角を曲がった先の窓辺に、兵服の正装ではなくドレス姿のニーナさんが外を見ていた。ただ外の様子を見ているだけだというのに、なぜこうも絵になるのだろうか。木々さん同じく、同性の自分もドキドキしてしまう。 「・・・・・・」 「どうかした?」 「いえ、ニーナさんもとても素敵で、つい見惚れてしまって」 「ふふっ、ありがとう。城を出る直前までドレスを決められなくて、結局ラジ王子に決めてもらったの」 「ラジ王子が!」 「ラジの美的感覚はたしかだから。それに今回は側近とはいえ私個人での招待だから、派手すぎず落ち着き過ぎずってところで決まらなくて」 「ニーナどの、もしかして支度が済んでから歩き周ってました?」 「歩き周るほどではないけど、この辺りを少し」 「通りで衛兵が、そわそわしてるわけだ」 「あら、それはすみませんでした。それと、白雪さんもオビさんも、そんなに固く話さなくてもいいわ。場所にはよるけれど、私的な場面では普通にしてほしい。ニーナでいいよ、歳も同じくらいだし」 「・・うん、ニーナ。私も白雪でいいよ」 「うん、ありがとう白雪」 初めて会った時のニーナも同じように笑っていたなと思い出す。 「お2人ともごゆっくり」と言ってオビがラジ王子を呼びにその場を離れた。私も、と言いかけたが、ここはオビに甘えることにした。 「ニーナは、どうしてラジ王子の側近を?」 「私ね14の時に旅に出て20歳の誕生日の前に家に帰ったの。そうしたら、ラジ王子から城への招待状が届いたの。私の旅の話しが聞きたいから来て欲しいってね。断る理由もないから1週間シェナザード城に滞在して色々な話をしたの。ラジ王子がそれをどう受け取ったのかはわからないけど、その後に側近として登城して欲しいと書状が届いた。正直ね、とても悩んだのよ。でも、力を貸してほしいって言われたら断る理由が見つからなかった」 「そうなんだ・・。ラジ王子がご自分で。どう?今は側近をしていて」 「楽しいわ。ラジ王子と話しをして、ロナ姫やユジナ王子とお茶をして、サカキと打合せをして、政務官とたまに喧嘩をして。毎日がとても楽しい。もちろん、つらいこともあるけど話を受けて良かったと思ってるわ!白雪は、どうして宮廷薬剤師を?」 自分がタンバルンにいたこと、ラジ王子とのことをニーナが知っているのかは分からないため、クラリネスに着いてからの話しを簡単に話していると、数人の足音が近くで止まった。 「待たせてすまない」 「レディを2人も待たせるなんて。ラジ王子ともあろう方が」 「どういう意味だニーナ・・・・」 「ラジ王子が選んだドレスですね」 「・・・・・・・あぁ」 「少し派手すぎませんか?」 「いや、お前は元から目立つから問題ない」 「それはそれは」 「よく似合っている」 「お褒めに預かり光栄です。・・・ところでラジ王子」 「む?」 「今回も髪は上げてくださらないのですね」 「・・・・またそれか」 「やはり私がセットを」 「いい、また今度にしろ。それよりもう時間なのだろう?白雪どの」 「はい、ではご案内致します」 ←→ 目次 |