5 「ゼン」 「兄上」 「ニーナには、会えたか?」 「はい、挨拶程度でしたが」 「綺麗な娘だっただろう?」 「は、はい・・」 「私は、あの目が好きでね。優しい目をしながらも好戦的で、好奇心と知性を感じさせる。ニーナは己の見せ方をよく知っているからこそ、人を惹きつけるのだろうな。・・・ラジどの側近をしていると聞いたときは驚いたが、久しぶりに会ってもやはり面白い娘だ。・・どうだ、ゼン」 「ど、どうだとは、どういう意味でしょう」 「ほう?」 「・・・・・・」 「まぁいい。はっきり向こうから断って来たからな」 「そうでしたか」 「あれは、おそらくあちらの妃になるだろうな。国としても彼女を座らせるのが一番良いとするだろう」 「・・・・・・」 「ニーナは、リリアス滞在の際にハキとも交流がある。お前たちとも歳が近いしな、仲良くしておいたらどうだ?」 「それなら、心配ありません。すでに白雪とニーナどのが楽しそうに話しているのを見かけましたので」 「そうか。あぁ、それなら私も見たな、ラジどのが両手に華で歩いていた」 「・・・・そ、そうですか」 翌日、ラジどの見送りに出向けば親しげに話す白雪とニーナの様子があった。白雪からラジどのとニーナどのの関係についても聞いていたが、兄上の言葉も思うと間違いないだろう。 「ラジどのは、ニーナどのを妃とするのか?」 「あぁ。今更ニーナ以外の娘など考えられんな」 「・・・・・」 「どうかしたか、ゼンどの」 「いや、そこまではっきりと言われるとは思わなかったのでな。少々驚いた」 「はっきりと答えたのはゼンどのが初めてだ」 「そうか。では、こちらも頑張らなくてはな」 「うむ、良い知らせを待っているゼンどの」 去り際の2人の後姿が様になっているのを眺めてから、横にいた白雪に視線を落とせば、どこか嬉しそうにしているのが見えた。「なんだか昨日よりもずっと2人の雰囲気が良くなってる」と白雪が言うので、昨晩、何かあったことは間違いないらしい。人の城でやってくれるな、タンバルンのラジどの。 「どうかした?ゼン」 「これで兄上が俺にニーナどのを薦めることもないなと思ってな」 「?」 ←→ 目次 |