「ゼン」
「兄上」
「ニーナには、会えたか?」
「はい、挨拶程度でしたが」
「綺麗な娘だっただろう?」
「は、はい・・」
「私は、あの目が好きでね。優しい目をしながらも好戦的で、好奇心と知性を感じさせる。ニーナは己の見せ方をよく知っているからこそ、人を惹きつけるのだろうな。・・・ラジどの側近をしていると聞いたときは驚いたが、久しぶりに会ってもやはり面白い娘だ。・・どうだ、ゼン」
「ど、どうだとは、どういう意味でしょう」
「ほう?」
「・・・・・・」
「まぁいい。はっきり向こうから断って来たからな」
「そうでしたか」
「あれは、おそらくあちらの妃になるだろうな。国としても彼女を座らせるのが一番良いとするだろう」
「・・・・・・」
「ニーナは、リリアス滞在の際にハキとも交流がある。お前たちとも歳が近いしな、仲良くしておいたらどうだ?」
「それなら、心配ありません。すでに白雪とニーナどのが楽しそうに話しているのを見かけましたので」
「そうか。あぁ、それなら私も見たな、ラジどのが両手に華で歩いていた」
「・・・・そ、そうですか」

翌日、ラジどの見送りに出向けば親しげに話す白雪とニーナの様子があった。白雪からラジどのとニーナどのの関係についても聞いていたが、兄上の言葉も思うと間違いないだろう。

「ラジどのは、ニーナどのを妃とするのか?」
「あぁ。今更ニーナ以外の娘など考えられんな」
「・・・・・」
「どうかしたか、ゼンどの」
「いや、そこまではっきりと言われるとは思わなかったのでな。少々驚いた」
「はっきりと答えたのはゼンどのが初めてだ」
「そうか。では、こちらも頑張らなくてはな」
「うむ、良い知らせを待っているゼンどの」

去り際の2人の後姿が様になっているのを眺めてから、横にいた白雪に視線を落とせば、どこか嬉しそうにしているのが見えた。「なんだか昨日よりもずっと2人の雰囲気が良くなってる」と白雪が言うので、昨晩、何かあったことは間違いないらしい。人の城でやってくれるな、タンバルンのラジどの。

「どうかした?ゼン」
「これで兄上が俺にニーナどのを薦めることもないなと思ってな」
「?」


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