「失礼します!」
私は声高々に二年の教室に入る。
「先輩!お昼ご飯一緒に食べませんか?」
そう言えば大楠先輩が反応してくれた。
「もちろんいいよ」
「やったー!嬉しい!今日もキツネ顔が素敵!」
「ははは…雅乃ちゃん?」
「やだ先輩、笑顔怖い」
そんなやり取りをしていれば、大楠先輩の後ろから恵那先輩が顔を出す。
「まあ残念ながら佐久間はいないんだけどなー」
「恵那先輩いたんですか!」
「大楠に会いたかったからきた」
「仲良しですね!私も混ぜてください!」
それからぞろぞろと先輩らが集まり出した。
「佐久間先輩いないんですね…残念です…」
「お前は佐久間に会うためだけに学校きてんのかよ」
「うるさいです辺見先輩のばか!」
「こっちは先輩だぞ!」
隣にいる大楠先輩は「食事中に君らのがうるさいよ」と呟く。
「桜庭そう落ち込むなって。佐久間なら委員会の仕事で今いないだけだしそろそろくるはず…」
「本当ですか!」
恵那先輩の言葉にタイミングよく教室の扉が開く。
「やっと昼飯食える…」
「佐久間先輩!」
「え、」
扉が開けば佐久間先輩だった。私に気づくと先輩はあからさまに顔をしかめた。
「会いたかったです!」
私は調子にのって佐久間先輩にガバッと抱きつく。
「うわ離せ!!」
ぐいぐいと押しのけようとする先輩の後ろから、源田先輩が顔を覗く。
「桜庭、佐久間。何してるんだ?」
「あ、源田先輩こんにちは!」
「あぁ、こんにちは」
源田先輩は、にこりと爽やかに微笑む。
「源田!助けろ!」
「え、誰を?」
「俺しかいないだろ!今俺にくっついてる桜庭を離れさせろ!」
「相変わらず仲がいいな」
「そうじゃなくてなあ!」
あはは、と源田先輩は笑う。
「見てると仲が良さそうに見えて離すのも…いや、いうよりも」
「なんだよ」
「付き合ってるように見えるな、佐久間と桜庭」
冗談でもないような顔で源田先輩はさらっと言う。
「な訳ないだろ!」
「本当ですか!?」
それぞれ違う言葉が重なる。
「つ、付き合ってるように見えます!?」
「ん?まあそこまでくっついてるとそう見えるかなーと。佐久間もなんかまんざらでもなさそうな表情だしな」
「おいちょっと待て、俺がいつまんざらでもなさそうな顔をした!」
とりあえず私は一度佐久間先輩から離れた。
「どうしましょう佐久間先輩!」
「どうもしねぇよ!ほらみろ源田が余計なこと言うからコイツが調子にのる!」
「………まぁいいんじゃないか」
「視線を逸らすな」
佐久間先輩はそう言うが、ひたすら一方的だと思っていた関係がそう見えたのは正直なところ嬉しい。
いつか、今よりも進展できるかな。