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四時間目、数学の授業中。不意に私のお腹がきゅう…と小さな音をたてた。
お腹減ったなぁ。
先生が黒板を指さしながら数式を説明している最中、私はそんなことを考えていた。
今日の朝は時間があまりなくて、朝食を少ししか食べられなかった。

たまに外を眺めながらノートに黒板に書かれていることを写す。
そんなときだった。
ヴヴヴ...
この場には合わない音が制服のポケットから響く。
スマホの音だ。誰かからメールがきたらしい。私は先生に気づかれないようにスマホを取り出し、メールを開こうとする。
「……!」
そのメールは、星降さんからだった。
そういえば、星降さんからメールがきたの久しぶりだ。なんだかか嬉しい。
私はそんなことを思いながら、メールを開いた。
開メールには、こうかかれてあった。
〈暇〉
なんて中身すかすかな内容。思わずこの文面を二度見してしまった。
さすがにこれだけではないだろう、と思い画面をスクロールしてみると、案の定文は続いていた。
〈昼休み、若葉時間ある?〉
昼休み……は、昼食食べるぐらいだし…。
私はそう思いながら、そのことをメールにかいて送信した。
すると、メールの返事は案外早くきた。
〈それなら昼休みになったら屋上きてくれる?弁当持ってきてくれてもいいから〉
屋上に?何か話でもあるのかな。
〈何か話があるなら今メールにかいたらいいんじゃないですか?〉
私はそう打って、送信した。
そこからは、星降さんとのメールのやりとりが続いた。
〈いや、別に特別話がある訳じゃないんだけど。単に暇つぶしになるかなーと〉
〈私は暇つぶしの道具ですか…〉
〈そこまでは言ってないって。ほら、若葉って見てて飽きないだろ?〉
〈私に同意を求めないで下さいよ〉
〈実際今暇なんだけど〉
〈そもそも今授業中なんですけど…私に何をしろと〉
〈なにかできるの?文面で芸でもする?〉
〈無茶言わないでください!星降さんがやってくださいよ〉
〈は?〉
〈なんかごめんなさい〉
〈そういえば前さ、若葉トマトと卵焼きと梅おにぎり同時に食って吐きかけたとか言ってたよな。アレ、面白かった〉
〈今その話掘り返します!?恥ずかしいからやめてくださいあと原因は星降さんですよ!〉
〈今日も是非。〉
〈嫌ですよ!〉
他愛もないやりとりが続いて、気づいたらチャイムが鳴った。
「今日はここまで。ちゃんと復習しておけよー」
先生が教科書を閉じた。
しまった。途中から全然話聞いてなかった。
ほとんどメールをしているだけで時間が過ぎ去ってしまった。
「…でも、楽しかったな」
まさか、こんなときに星降さんとメールでやりとりできるなんて思ってなかった。

「……でも誰かにノート写させてもらわなきゃ」