07

部活でのマネージャーの仕事にも慣れてきたある日のこと、突然言われるのだった。

「と、いうワケなのでっ」
観月監督がポン、と手を合わせた。
「合宿をやります!」

突然サッカー部が集められたかと思えば観月監督はそんなことを提案した。もちろん私も集められた一人。
「あ、あの…ちょっと急じゃないですか?ちなみにそれっていつやるつもりで…」
サッカー部メンバーの代表で言ったのであろう喜多さんは躊躇いながら問いかける。
「んー…、みんなはいつがいいかな?」
首をかしげて観月監督は問い返す。
「え? いつって……せめてでも2週間後ぐらいとか、ですかね…」
喜多さんがそう言うと他のみんなも「俺もー」と次々に賛同していく。
「そうねぇ…それじゃあ、一週間後にでもしよっか!」
「…………」
唖然とした。
え……観月監督……?
「ちょ、観月!おま、ふざけんな何故そこでそういう結論にいく!あとしよっかじゃねぇよ年齢考えろ!!」
隼総くんが立ちあがって反論する。隼総くん…そんな口聞いたら…
「隼総くん…?今なにを言ったかな。ごめんね私ちゃんと聞き取れなかったから、もう一度言ってくれないかな…?」
観月監督のバックに般若が見えたような気がするのは気のせいでしょうか。
そんなこんなで一週間後に合宿が決まってしまい、今日は解散となった。

***

「あ、あのぉ…、この状況はいったい…」
突然の合宿が決まった後の帰り道。現在の状況が疑問である。
「? 状況て……一緒に帰ってる、だろう」
「見ての通りでしょ」
右には喜多さん。左には星降さん。つまりは私が真ん中。
何故、何故この二人と帰ることになったの…!通りかかる女の子達の視線がとても痛い。
「にしても監督、ホント急だよな。ま、特に予定ないからいいけど。」
「とは言っても…物事には順序ってものがあるだろ」
「うっわキャプテンマジメー」
「………コレが普通だと俺は思ってる。」
しれっと会話を始める二人。あの、私を挟んで会話しないで下さい。
「そういえば若葉は、」
「あ、はい」
急に星降さんに会話をふられる。
「合宿、若葉も出るんだよね?」
「…え。」
そうだ、そういえばマネージャーとなればそういうのも出ることになる。サッカー部って男子ばっかだし、女子っていうと私か監督ぐらいになるのか…それはそれできついかもしれない、なんて思う。
「佐野?別にムリしなくていいからな? 急に決まったことなんだし」
喜多さんは私を気遣ってか、優しくそう言った。
私は少しだけ考えて、答えた。
そして夜、星降さんからメールがきた

〈若葉って合宿とかそういうの出ないかと思ってたから意外だった〉
特に何でもないような文をベッドに寝転がって読む。
私は合宿に出ることにした。本当のことを言うと、無難に参加したくなかった。でも、マネージャーになったからにはそういうのには参加したほうがいいだろうし、なにより、選手の人と交流してみたかった。
いつもは星降さんとか隼総くんとかと話してて他の人とは話したことがなかった。怖そうな感じもするけど根はいい人なんだろう。

「……」

合宿、楽しみだな。
大変なんじゃないかと思う反面、そんなふうに思った自分がいた。