「嫌い、って言えば暁は私を諦めるの?」
「ううん。好きになってって言う」
「なにそれ。大体なんで私なの?
周りに可愛い子とか優しい子とか、
しっかりした子とかいるでしょ」
「……? 志保ちゃんは可愛いし、優しい。
しっかりは、してないかもしれないけど」
「ぽやぽやしてる暁にだけは言われたくないけどね」
暁を嫌いな訳がない。
懐いてるぶん可愛いし、格好良くなったなあって思う。
でもまだまだ私が面倒見てあげたい。
幼馴染だけど、ちゃんと男の子としても見てる。
ただ、付き合う、って言われると分からなくなってしまった。
「暁の、私を好きって追いかけてくれる所が好きだよ。
でもそれって、暁が私を好きだから好きになっただけで
私を好きになる人なら誰でもいいのかもしれないよ?」
それでも良いの?と問いかければ、
暁は首を傾げて考え始めたけど
結局、それって駄目なの?と逆に尋ねられた。
私だって分からない。
黙っているのをどう捉えたのか、暁が急に私の手を握る。
「これ、いや?」
「手を繋ぐの?別に……」
「じゃあこれは?」
首を傾げつつ答えた直後、そのまま手を引かれ
暁の腕の中に閉じ込められた。
年頃の男女にしては距離感が近いと言われる二人だけど
それでも正面から抱きあうなんて、もうずっとしていない。
せいぜい暁が後ろからお腹に腕を回して凭れてくるくらい。
昔は抱き着かれていると感じていた筈の体制が、
今ではもう抱きしめられているとしか言えなくなった。
「……嫌じゃないよ」
私の言葉を聞いて、暁の腕の力が少し緩んだ。
抜かれたとは言っても大した身長差はない。
背中に腕を回されたまま、暁の顔に焦点が合わない距離。
暁の顔がこんなにも近いのは、初めてかもしれない。
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