もう少しで鼻と鼻とがぶつかりそうな距離。

近すぎてよく見えないけど、暁の視線を感じる。

多分、さっき好きだと言ってきた時と同じ熱のこもった目。

暁のこの視線と、私がこの距離を許せるという事が、

答えなのかもしれない。



「そうだね」

「え……」

「付き合おっか」

「いいの?」

「……いいよ」



再びぎゅう、と抱きしめられて

ふわふわと、まるで花でも飛んでるみたいな雰囲気。

昔から変わらない、こういうところが可愛くて仕方ない。

暁の背中へ腕を回してみたら、私も自然と笑いが零れた。



「ふふ……」

「あ、そうだ」

「んー?どうしたの?」

「どうせだからキスもしとこう」



やっぱり可愛くて仕方ないというのは撤回。

近づく頭を両手で押さえたら、ムッとした顔になったけど

そんなついでみたいな言い方でさせるのは癪だから

そのまま押さえる手は緩めない。



「どうせだからって何」

「本当はキスして、それでも嫌じゃないって言われたら

 付き合おうと思ってたんだけど……

 もう付き合ってるしキスしても良いのかと思って」

「良くないわ馬鹿!」



頬をぺちと軽く叩いて、不満げな暁の腕から抜け出した。





アルバムの中にある画質の悪い1枚。

きっと携帯で撮って後から印刷したんだと思うけど。

私の記憶は、不満げな表情で終わっているのに

写真の中の暁は喜んでいるように見える。



「あの後、何かあったんだっけ……」



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