ぱらぱらとページを捲っていた私の手を止めたのは
中学2年生のクリスマスに撮った暁の家での写真だった。
うちの両親が仕事で帰りが遅くなるからと
毎年のように暁の家にお邪魔していたクリスマス。
それはこの年も変わらなかった。
「まだ片付け途中だったんだけど」
「母さんもいいよって言ってた」
「そうだけどさあ」
食事を終え、おばさんの片づけを手伝っていたはずなのに
不満顔の暁に邪魔され、強引に部屋へ連れて行かれた。
準備も手伝ってくれたし、とおばさんは言ってくれたけど
やっぱり最後まで手伝いたかった、お邪魔している身だし。
そして、最大の問題はこの体制だ。
私はベッドの上で暁の抱き枕状態になっていた。
これ以上何かされそうな雰囲気は感じないけど、
既にこの体制がマズい気がする。
「こら、寝るな。私そろそろ帰るから離して」
「なんで。志保ちゃん泊まってかないの」
「泊まらないよ。もう父さんと母さん帰ってくる時間だし」
「…………」
出たよ、寝たふり。
私を抱きしめる力が強くなったからバレバレ。
無理やり逃げ出す事も出来るけど、
そうなると拗ねた暁が後々面倒臭い。
……本当は、こんなご機嫌取りみたいな形は嫌だけど。
「さとる、」
そう名前を呼んで、頬に軽く唇を寄せた。
「……今のなに?」
「……何だろうね」
「志保ちゃん、もう1回」
「いやですー」
思ったより恥ずかしくて布団に顔を埋めたのに
隙あり、とばかりに耳に温かい何かが触れた。
しかも ちゅ、と音を立てて離れていくものだから
びっくりして顔を上げてしまった。
「馬鹿!何すんの!」
「志保ちゃん、顔が真っ赤」
暁がそれはそれは嬉しそうに笑うから、何も言えなくて。
そのまま押し付けられるみたいに、
かさついた唇が私の唇とぶつかった。
初めてのキスだった。
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