アルバムをまた1ページめくる。
そこにでかでかと貼られているのは
パソコンから印刷した、青道高校野球部の選手一覧。
『 18 降谷暁(1年) 』の文字は蛍光ペンで彩られている。
私はアルバムの残りのページに暁の活躍を貼り続けた。
高校1年生の初夏。
離れていく背中を待つなんて出来ないと思ったはずなのに
結局、私の頭の中には暁が居座り続けていた。
それなら何の為に別れを告げたのか、とか考えもしたけど
幼馴染だし、気になってしまうものは仕方ない、と
青道高校野球部の動向を気にする自分に開き直った。
さすがに北海道じゃ、東京の地区予選は
放送されないし、新聞にも載らないから
ネットで青道高校と検索するのが習慣づくのも早かった。
強豪校で、入学して2ヶ月も経たないうちに
背番号をもらうなんて、と驚いていたら
関東大会一回戦の初登板の2イニングで6連続奪三振。
その後も調子の良し悪しはあったんだろうけど
ずっと暁の活躍は続いていて。
狭い所で納まる器じゃないって、ずっと思ってたし。
すごい人だって昔から知っているつもりだったけど
暁は私の想像を何度も遥かに上回っていく。
そうして夏が終わって。
甲子園には一歩届かなかったけど、
「すごかったね」「頑張ったね」「格好良かったよ」って
アルバムに印刷した記事を貼りながら、
心の中で何度も何度も繰り返した。
夏休み、暁は帰ってこなかった。
部屋の片隅の綺麗に包まれたシロクマのぬいぐるみは
渡せなかった誕生日プレゼント。
独りよがりの自己満足だと、気付いていたけど。
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