ユニフォーム姿の暁と並んで立つ写真が
スクラップブックの間からぱらりと落ちていく。
日差しと人人々の熱気でむせ返るような暑さだった。
準決勝もすごい人数だと驚いたのに、決勝ともなると
一段と人が多い。応援席に両親と並んで座ると、
少し離れた場所の青道高校の生徒に自然と目がいった。
そういえば暁の制服姿を見たことは無かったな、
そんなことを考えている内に選手たちのアップが始まった。
「あれ、暁くんは?」
「レフトにいるよ……あそこ」
今日は投げないのか、それとも途中で交代するのか。
基本的に野球に詳しくない母にポジションを指差しながら
表情が分からない距離にいる暁に心の中で声援をおくる。
ずっと見てるから。頑張れ
6回にマウンドに上がった暁の気迫は、
回を重ねるごとに凄みを増していく。
周囲の音が遮断され、暁以外の何者も認識できない程に
暁だけに目を奪われてしまう。それほどの迫力だった。
そして9回表、2アウト、得点は青道が2点リードという状況
ランナーは1,2塁、ボールカウントは1ボール2ストライク。
自分の心臓の音が、ひどくうるさかった。
まばたきすらできない緊張の中、
まるでバットを避けたかのように
キャッチャーミットにボールが吸い寄せられ
一瞬の間を置いて、審判の右手が上がった。
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