いつものように朝練を終えて、

いつものように丼3杯の朝食を詰め込んで

いつものように着替えて登校する。

靴箱に差し掛かったところで、

望月さんが居る事に気が付いた。

小さく息を吐いて胸を落ち着けたら、笑顔を作る。

大丈夫、いつものように。



「おはよう、望月さん」

「東条くん!おは、おはよう!あの、えっと」

「どうしたの?」



望月さんの手は白くなるほどぎゅっと握りしめられていて

たどたどしく話す様子からも、

いつも以上に緊張しているのが見て取れた。

大丈夫だよ、って笑って安心させてあげたかったけど

緊張させているのも自分だと気づいて、胸が痛い。



「東条くんに、話があって、もし時間もらえるんだったら

 昼休みに昨日の場所に、来て、ほしい、んですが」

「え……」

「じゃ、じゃあ私先に教室行くね!」



だんだんと小さくなる声で告げられた言葉に戸惑って

まともに返事をする事もできない内に逃げられてしまった。



背後からは興味本位で覗いていた沢村の騒ぐ声と、

それを咎めている小湊の声が聞こえる。

いつの間にか信二は隣に立っていて



「今のって……」

「うん、望月さん。何か昼休みに話があるって」

「あー、なんつーか、大丈夫か?」



十中八九、昨日の話だよな、なんてぼんやりと考えながら

曖昧な笑いを返す俺に、信二は眉間に皺を寄せた。





俺はいつも通り振る舞えていただろうか。



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