こんにちは,サンドリヨンV

魔神フラウロスは強大な力をもって、蹂躙する。

オルレアン以降召喚に応じてくれたエリザベートや清姫も、フラウロスの魔力波で吹き飛ばされてカルデアへ強制帰還した。

《━━━━━━》

無数の眼光が蠢き、黒い魔力の塊を放つ。

その魔力波に呑まれたネロがとうとう膝をついた。

「ネロ!」

荊軻が素早く駆け出してネロを前線から遠ざける。

ネロを失えば本末転倒だ。

その間にアーサーが躍り出てフラウロスの注意を一身に引く。

「魔力増大!でかいのが来るぞ!」

ドクターのナビにマシュへ声をかける。

「マシュ、宝具お願い!」

「真名、偽装登録。いけます!」

フラウロスと私の前に壁が現れ、全てを灼かんとする光とぶつかる。

ギチギチと音を立てて光は霧散した。

間に合った…!

しかしサーヴァントたちは疲労の色が濃い。
先程神祖ロムルスと戦ったばかりだ。

特に前線で張り合っているアーサーは、1番消耗が激しそうだ。

どうする?

このままではジリ貧で負けてしまう。

フラウロスは続けて魔力波を放出している。

徐々に押される戦線に、思考力も削がれていく。

考えろ、考えろ!考えろ!!


その時、フラウロスの無数の眼が、こちらを向いた。

「あ―」

ひとつ、またひとつとこちらに視線を向けてくる。

その視線は体の芯を凍らせ、声すら喉から震わせられなくなってしまった。

赤い瞳の眼光が鋭く光る。

「マスター!?」

マシュが慌ててこちらにやってくるが、間に合わな――



突如、フラウロスの側で光の柱が沸き立った。

それはフラウロスの放つ禍々しい光ではない。

全てを浄化せんとする、星の輝き。

見ると、アーサーの持つ剣が輝いていた。
何故だか当の本人すら驚いているような様子であったが、すぐに切り替えてフラウロスに向き合った。

「是は、世界を救う戦いである」

輝きを増す剣。

え?もしかして、もしかしなくとも、宝具!?

はじめて見るアーサーの宝具。
今それが放たれようとしている。

鋒を下げて紡ぐその真名は―

「エクス」

「カリバァァァーーーーー!!!」


振り上げられた聖剣から溢れ出た光は、フラウロスにまっすぐ向かっていく。

瞬く間に醜い肉塊は星の光に呑まれた。

《━━━━━━!!!》

それは、甲高い叫び声を上げて見えなくなった。



聖剣の光が収まり、あの巨体が消えたことをマシュが確認する。

「……敵性生物、撃破です!マスター!」

「よし!」

巨体がいた場所には、レフが身体を震わせて立っていた。

「馬鹿な…」

「…!!ななし!」

声を上げたアーサーに驚いて見てみると、レフの足元にななしさんが横たわっていた。

殆どうつ伏せになっており顔は見えないが、僅かに肩が上下していることから息はあると分かる。

良かった…!
生きてた!

「たかが英霊ごときに……。我らの御柱が退けられるというのか?」

足元のななしさんには目もくれず、レフは何かをぶつぶつと呟いている。

あの調子だと、これで終わりではないようだ。

「まだ、何か……」

マシュが言いかけるが、そこにドクターの声が割り込んできた。

「気を付けて!聖杯の活性化を感知した!また何かが起きるぞ!」

その声を聞いてマシュも油断なく盾を構え直した。

「…古代ローマそのものを生贄として、私は、最強の大英雄の召喚に成功している」

くくく、と喉を鳴らして笑うと、玉座に振り返って両手を広げた。

「来たれ!破壊の大英雄アルテラよ!!!!!!」

すると召喚サークルが浮き上がり、激しく光り出す。


中から現れたのは褐色の肌に白い衣装を纏った人…?

それを見てレフは満足そうに笑う。

「終わったぞロマニ・アーキマン!人理継続など夢のまた夢!
このサーヴァントこそ究極の蹂躙者!アルテラは英霊ではあるが、その力は―」

突然、自慢げに語っていたレフの声が止まった。

「え?」

「―黙れ」

その一言ともに剣を振り、アルテラはレフを真っ二つに引き裂いた。

そのまま死体はグシャと音を立てて床に落ち、アルテラの足元に血溜まりを作った。

その死体に見向きもせず、アルテラはななしさんの体を持ち上げて肩に担いだ。

「なんだ!?聖杯の力がアルテラというサーヴァントに流れているぞ!?」

「聖杯…?」

混乱したようなロマニの声に、聖杯の存在を思い出した。

そういえば聖杯はどこにいったのだろう。

「え…?どこってすぐそこだ!アルテラの側に反応があるぞ!?」

「すぐ、側って…もしかして」

マシュが何かを言いかけた時、アルテラが口を開いた。

「私は―」

「フンヌの戦士である」

「そして大王である」

この西方世界を滅ぼす、破壊の大王。

そう機械的に告げたアルテラの持つ剣が、3色に輝き始める。

「破壊の――」


「魔力反応増大!
これは宝具の―それも、対城宝具クラスの解放だ!」

ロマニが警鐘を鳴らす。

「マスター…!」

「宝具使用だ!急げ!!」

「はい…!」




おまえたちは言う。

私は、神の神罰なのだと。

―神の鞭、なのだと。

七色の光が渦巻き、爆発した。
2018 10 09
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