間接チューとかありですか


それはまるでデジャブだった。
同じだけど同じでは無い。

私が爆豪にしていたことを轟にされているだけ。

どこ行くにも着いてくるし休み時間にも私の所へ直ぐにくる。
もう何日爆豪に想いを伝えられてないだろう。
私はこんなに寂しいのに爆豪は気にしてなさそう。
爆弾投下の日にイラついて見えたのはうるさかったからだけなのか。

「涼風、どこ行くんだ?」
『お昼、轟も行く?』

食堂に行こうと立ち上がると轟が来たので轟に聞く。
轟はコク、と首を縦に振り私のあとをついてくる。

A定食が無くなっていたのでB定食を頼んで食堂を見回すと、ずっと話したかった人の頭が見える。

『ばくごーくん』
「ア?」
『隣座っていい?』
「他行けや」

聞いといてなんだが返答を待たずに隣に座る。
爆豪は座んなら聞くなやときれている。
それを見てケラケラ笑う切島たち。

その場が静かになったのは私の隣に平然と轟が座ってきたから。

「半分野郎と食うなら俺の隣じゃなくて良いだろうが」
『え、だって爆豪の空気吸いながら食べたい』
「俺は涼風の隣で食べたい」

先程まで楽しそうだった雰囲気はどこへやら。
切島たちも黙ってしまってお通夜かよ、というテーブル。

「切島ーさっきの数学わかったー?」

場を和やかにしてくれたのはほかのテーブルに座っていたはずの三奈ちゃんと響香ちゃん。
彼女たちにアイコンタクトでお礼を言うと彼女たちもまた気にすんなと返してくれた。

無言でズルズルと蕎麦をすする轟。

『蕎麦美味しい?』
「あぁ。食うか?」
『あ、いや大丈夫』
「涼風のそれも美味そうだな」

蕎麦は一回食べたから味はわかるしただ無表情で食べてるから美味しいと言う感情があるのか気になって聞いただけだ。
私の問いに答えると私が箸で掴んでいた小鉢の白和えについて聞いてくる。

『うん。美味しいよ。食べる?』
「食う」

私が聞くと犬がしっぽを振っているような顔をして頷く轟。
可愛いな、と思い掴んでいた白和えを口元に持っていくとその手は後ろから引かれて白和えはま後ろにいた人の口に消えていく。

『へ、』
「そんなに食いたきゃこれ食えや」

私が轟にあげようとしていた白和えは爆豪の口に運ばれた。
で、爆豪は轟に自分の白和えの小鉢を渡して席を立つ。

「いいのか。悪ぃな。」

轟はよっぽど白和えが気になっていたのか嬉しそうに爆豪から受け取った小鉢を食べている。
私はと言えば今起こったことを思い返して思考回路がショートする。

今のって、完全に間接キスだよね。
爆豪が私の箸、食べた。
やばい無理。

「ありゃこりゃ大変だね」
「爆豪も無意識であれはズルいわ」

そんな三奈ちゃんと響香ちゃんの会話は耳にもう入ってこなかった。







私の菌が爆豪の体に…!



耳(ダメだこりゃ)
芦(話してなかった分爆発しちゃったね)
耳(自分は無意識に轟にアーンしてたくせにね)
芦(どっちもどっちだね)