I don't Know!!!


なんてこった。

とある日の午後、実技の授業くじで三人一組になりランダムで戦うことになったのだが、横の二人を見て頭を抱える。

「あのチームやべぇだろ」
「さすがにくじ運強いわ」
「轟めちゃくちゃ嬉しそうな顔してる」

私たちを見てゲラゲラ笑う切島、上鳴、瀬呂の三人。
いいね君たちは仲良しで固まれて。
そっちの方がくじ運強いじゃん。
いいよなんとでも言いなさいな。

「足引っ張ったら殺す」
「あぁ。がんばる。」
『全部爆豪に合わせるよ…』

チームと言ってもそれぞれインカムをつけてバラバラにいる敵を倒さなければいけない。
敵と言ってもクラスメイトだけど。
それに今回は成績に響くものではなくお互いの動きを把握するためのレクみたいなものでもある。

「ウチ、レクでも本気で行くからね!頑張ろうねデクくん!」
「うん!」
『いいねそっちも仲良しで固まってて』
「涼風くんの所も仲良しじゃないか」

お茶子ちゃんと緑谷は可愛い会話してる。
羨ましいと声をかけると何も分かっていない飯田くんに良かったな、と肩をトントンされる。

いや良くねぇんだよ、鈍感かよわかれよ。
と怒りをぶつけても仕方ないのでとりあえず三人で集まる。

正直緑谷とお茶子ちゃんと飯田くんの三人っていうのは中々に厳しい。
トップ2は余裕だろうけど私は何の役にも立てる気しない。

前の二組が終わって自分たちの番になる。
どっちが敵とかそういう指定はなくどちらかが残り一人になったら時点で終了。
何も変化がなくとも15分経ったら終了。

『ほんといつも思うけど凄いよね』
「何がだ?」
『こういうセットだよ。こんな大きいビルとかよく作るよねぇ。』

演習場のセットを眺めて轟と話していると前から腕を引かれる。

「テメェは俺から離れんな」
『あ、はい』

イケメンすぎる爆豪の発言に即答するしか出来ず固まっているとブザーが鳴り響く。

始まりってことか。

とりあえず見晴らしのいいビルの上に行こうと駆け上がる爆豪の後を着いていく。

「ンでテメェも着いてくンだよ!」
「固まって動いた方がいいかと思って」
「ンなわけねぇだろバカか!テメェは後方支援だろうが」

爆豪にキレられ、そうか、とだけ言うがそれでも着いてくる轟。
いや、だから先に作戦会議をするべきだったんだよ。

そう思ってももう遅くて、少し高いビルの最上階の柱の影から外を覗く。
何の音もしないが確実に近づいてきてることはわかる。

『来る』

近くの風の流れが変わったことを教えれば二人は臨戦態勢をとる。
ガラスのない窓から入ってきたのは飯田くん。

「そこまでだヴィラン!」

いやこっちが敵想定なんかい。

「て、なんで君たち三人とも居るんだ?!」

いやそうなるよね。私もわかんない。
なんで三人揃ってここにいるのか全然。
本当に意味不明。
もう知らんわ。

「ハッ。倒しがいがあるわ」

横でパチパチと音がしたのでそちらを見ればまぁ何とも楽しそうな顔。
あぁやっぱりすきだなぁ、なんて考えてる暇もなく戦闘に入る。

途中でお茶子ちゃんと緑谷も来たけど、二人とも同じように驚いていた。
うん、ここで戦いになるのね楽しいねうん。

緑谷と轟、飯田くんと爆豪。
私はお茶子ちゃんとそれぞれ1対1状態になる。
役に立たないと行ったが重力を操るお茶子ちゃんは風を操る私にとって正直敵では無い。

『ごめんね!』

お茶子ちゃんが飛ばしてきたものを風で吹き飛ばし徐々に近づいて捕捉する。
お茶子ちゃんの周りに風を纏わせてそのまま牢屋に飛ばす。

勿論降ろす時は優しくしたよ。

もう3対2。
こちらが有利。

爆豪がいるビルへと行こうとしたタイミングでビルが大きな音を立てて崩壊する。

『やば、』

自分の個性を使って風を纏えば落下が防げるものの重さ等含めると耐えられる時間にも制限がある。
お茶子ちゃんは無重力状態だったので難なく運べたがこの高さ、私のそのままの体重ではどうにもならない。

あぁ無理かも。

衝撃に備えて目を閉じる。
が、中々来ない衝撃に目を開ける。

目の前には先程まで全然遠くにいたはずの轟。

息を切らして私を抱えていた。

『轟、緑谷は』
「怪我はないか?」
『え、うん』
「なら良かった」

下がっていた眉が上がり、ふわりと笑う轟。







こんなの、知らない。



緑(二人共ごめんね!)
((あ))
(終了ー!緑谷、麗日、飯田チームWINー!)
(爆豪怒るねきっと)
轟(だな)

(あいつが落ちていくのが見えて咄嗟に飛んだ)
(俺が着く前にもう半分野郎がいて)
(俺じゃなくても良いじゃねぇかって)
(何でこんなにイライラすんだよ)