1Aのみんなが大好きで


爆豪と会話しなくなって数日、もう割と吹っ切れてる方だと思う。
と言い聞かせてる。

轟は相変わらず私にくっついて周りことある事に可愛い、好き、と伝えてくれる。
早く答えてあげないとと思う一方、こんな気持ちでと考えてしまう。

隣を歩く轟は相変わらず無表情で何を思っているのか分からないが、私が見ていることに気づくと少し照れているのはわかる。

「腹減った」
『どっか入る?何食べたい?』
「そ、…いや陽向が食べたいものでいい」
『蕎麦?』

正直ここ最近ずっと一緒にお昼ご飯を食べているけど蕎麦しか食べてない。
そんなに蕎麦が好きか。

『野菜も食べないとダメだよ』

麺類なら好きかな、と考えパスタのお店に決める。

『わーやっぱり結構並んでるね』
「あれ、陽向ちゃん?」

パスタ屋の列を見てどうしようかと思った矢先後ろから聞き慣れた声がする。

『お茶子ちゃん!』
「わー偶然やね!おふたりさんはデート?」
「あぁ。そっちもデートか?」
「あっいやっこれはっ」

緑谷とお茶子ちゃんが二人で出かけている。
これはもうデートじゃん。
と後ろを見ると梅雨ちゃんや切島達も居て違うんかいと心の中で突っ込んだ。

『あ、良かったら一緒に食べる?』
「そうだね!」

そして結局お蕎麦屋さんに到着。
パスタ屋はあと1時間くらい待つかもしれないと言われたので割と空いていた裏通りの蕎麦屋さんに来た。

「美味い」
『良かったね』

私は小さいサイズのお蕎麦を頼んで少しだけ食べる。

「口に合わないか?」
『ううん!美味しいよ!けど朝いっぱい食べてきちゃって…』

本当は最近食事が入らない。
何でかはわかってる。
それに気づかないようにするのが精一杯。

「轟ちゃん。ちょっと陽向ちゃん借りていいかしら。」

残りあげる、と轟に蕎麦を渡して梅雨ちゃんと店の外に出る。

『どうしたの?』
「陽向ちゃん、貴方楽しい?」
『え?』

梅雨ちゃんに心を見透かされている。
梅雨ちゃんはいつだってそうだ。
みんなのことをよく見てくれてる。
でも今はそんな見ないで欲しい。

『楽しいよ』
「爆豪ちゃんと居た時、貴方は本当に楽しそうだったの。見ていて、こっちまで幸せになるくらい。」

そんな事言わないで。
もう決めたんだから。

「お願いよ。自分の気持ちに正直になって。」
『だって、そんなことしたら』
「轟ちゃんなら大丈夫。強い子よ。」

梅雨ちゃんの言葉に涙が溢れ出る。
梅雨ちゃんはただ私の背中を撫でてくれて、その優しさにも涙が止まらなくなった。

『っ、私』
「うん」
『私ねっ、爆豪が好きっ…』
「そうよね」
『焦凍も好きだよっ、』
「分かってるわ。」
『でも、っそれ以上に爆豪が好きで、』

文句を言っても突き放したりはしない、言葉では嫌がっても優しくしてくれる爆豪が大好きで、でもそれが辛いからって轟の気持ちを利用していいわけじゃない。

しばらく泣いておさまるまでひたすらそばにいてくれた梅雨ちゃん。

梅雨ちゃんに誓って、もう気持ちを抑えない。
私は自分に正直になる。







大好きな人達が困る顔を見たくないから。



上(おーい、ってなんで泣いてんの?!)
蛙(今はお呼びじゃないわ上鳴ちゃん)
上(あ、あーそゆことね)
(上鳴死ね)
上(うわ爆豪みてぇなこと言うじゃん)
蛙(今は許してあげてちょうだい)
(あーもう爆豪派閥の顔見たくなーい)
上(なんだそりゃ)
(はは、上鳴面白)
蛙(やっぱり貴方は笑った顔がいちばん可愛いわよ)