本作品を読んでくださってありがとうございます。皆様にはこの作品は、どのように映ったことでしょう。
学校は「昼」、安全な場所であり、学びの場であり、規律を重んじる場です。
しかし「夜」となると、そこはこの「Under Darker」の世界では危険な場。幻生たちの巣窟となるでしょう。
まさに、昼と夜の種族に別れてなお、現代まで戦い抜くこの世界観にぴったりの敵ではないか。そう感じて物語を書き進めました。
白夜章から手放した
そんな今回のテーマは、「過去」と「表と裏」。そして「信頼」でした。
個人的な話ではありますが、葉月は中学校時代、友人以外のクラスメイト、そして担任に、あまりいい思い出がありません(苦笑)。
葉月を助けてくださった恩師は、ほとんどが高校の先生です。そういった恩師に隻が、中学時代にもし出会えていたら。そう思って創り上げた糸川先生の過去に、皆様は早々にお気づきになられていたかもしれませんね。
隻でさえ途中で気づいて、「あの人は違う」と、必死に違う可能性を考えていました。
もし本当に違っていたら。それは隻にとって間違いなく嬉しかったものだったと思います。
ではもし違うと信じたまま、糸川の過去に触れなかったら。
果たして二人は、今までのままでいられたでしょうか。
理解できない世界、誤解しているもの。沢山世の中にはあり、葉月も自分でまだまだだなと感じる部分が沢山あります。
それはきっと、現実だけでなく、小説の中のキャラクターにも言えることで。
――きっと葉月も、そして妹も。作者であっても、私たちは彼らのことを十パーセントも理解していないと思います。
自分が抱いている相手像が、ひょんな拍子に変わってしまうことは怖いです。見なくてもいいのではと思う時が、たまにあります。
知るのも見ない振りをするのも、きっと優しさで、自由で、甘えで、厳しさかもしれません。
それは白夜章でも触れた「価値観」も、関わってくるお話になるでしょうか。
実は、リメイク前の本作品ではあえて触れなかったことがあります。
こちらはリメイク後に新たに追記した範囲となります。本編のネタバレになりますので、大丈夫な方はこのままお読みください。
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糸川先生の話です。
彼は隻が幻術使いだと気づいた夜の最初の侵入時の後、隻に自分が犯人だと気づかれても構わないと思っていました。
本当なら他の先生がやったものと偽れたはずです。彼らの動きを知っていたのですから、とぼけることもできたでしょう。
けれど彼がやったことは、自らの犯行を認めるのと同義の「隼の友達の行方不明」を隻に伝えたことでした。
真相に気づかれたなら。間違った自分に引導を渡してもらえるなら。それで終われるならいいと、糸川先生は思っていました。
『まさか自分の教え子が、最初で最後かもしれない、救えたかもわからない生徒が、会いに来てくれると思わなかった』から。
それが『どれほど嘘のような現実』で、『どれほどの希望』で。『どれほど救われたかわからない』と同時に。
今までの自分がやってきたことが、自分の心の甘さが、どれほどに黒く汚く
真っ直ぐな人は
糸川先生にとって、隻はそういった人間へと――自分が目指していたその場にいるような、『眩しい存在』になっていたのではないでしょうか。
同時に「自分が折れなかったなら」と、あの再会でどれほどの後悔を抱えたことでしょう。
もし糸川先生が重ねてきた過去を隻に気づかれなかったのなら。
このまま今年を終えて、一人静かに怪談の世界に身を投じて、物語を終え、自分が最後の犠牲者となって幕を引くつもりでいました。
それが「自分に感謝を示してくれた生徒」への、
それほどに、糸川先生は「自分はそんな人間じゃない」と隻に示そうとしました。
もう同じ目で見てもらえなくなることを覚悟の上でした。同じ目で見てほしくないとさえ思っていたかもしれません。
しかし隻はなおも「先生」と呼んでくれる。
「第一章 白夜の夜想曲」の、千理が永咲に「師匠」と呼ぶように。
結局、真実に一度折れかけたのに、それでも自分を追いかけてきた隻に根負けする糸川先生でしたが、それもまた、隻が途中で諦めきることがなかったからかもしれませんね。
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最終章、「
隻もまた、新年度を向かえて衝撃の事実に――
「忘れてた……帰ってきてたこと全っ然連絡してなかったな……」
「……はい?」
……天理の爆弾発言に、千理たちと共に固まったとかどうとか。本当レーデン兄弟は(万理を
最終章も作者二人が手綱を引く
ここまで読んでくださってありがとうございます。続章にてまた隻たちにお会いいただけるよう、また葉月も頑張ってまいります。