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『無論。我が本来の姿を見せるのは、汝らで六人目だな』
翅の目が感動で輝いている。静かに見下ろす目の穏やかさは、金色の瞳でありながら見る者を落ち着かせるだけでなく、奮い立たせてくるかのようだ。
かっこいい……! うっわやっべえマジかっけえ!!
「ちょっ、マジで六人目!? うっわそんな名誉いいのいいの!?」
『翅ー、そんなに感動するのはいいけど危ないよー』
「いやちょっと黙れよアヤカリ! 雷駆だよモノホン版だよレア度五ツ星だよ!!」
『……雷駆なんて嫌い。くすん』
呆然としながら雷駆を見上げるしかできない隻。水の膜の向こう側、ぼやけながら聞こえるいくつもの発砲音ですらどうでもいい。
ただ一つ、拳を固めて言えることはこれしかない。
「ごめんアヤカリ。黙れ」
『隻まで!? うわあああああんひどいよおおおおおおおっ!!』
甲高い鳥の鳴き声が響き渡る。鷹のようなライオンのような、そんな影が骸骨を数体鷲掴みにして一気に空へと投げ捨てた。
縦に旋回して戻ってくるグリフィンの姿に、隻は目を丸くする。
「あ、あいつ誰の……!?」
「悟子のか? あ、でも羽の色違うか……?」
あのグリフィンは銀色だ。空色の目に黄色の嘴が鮮やかで、悟子が操る伝統的な色合いのグリフィンとはまるで違う。味方でグリフィンを操っていそうな人間を片っ端から思い浮かべてぎょっとする。
まさか。
『天理の従属のグリフィンだ。先程合流してきた』
「何それどういうことなのマジ俺得」
「以下同文!!」
『もう二人とも嫌いだよおおおおおおおおっ!!』
こんな光景を前に、拳を固めて目を輝かせずにいられるか。
泣き叫ぶアヤカリの声を縫いながら発射される弾丸は、全てアヤカリ自身に防がれている。なのに。
雷駆が嘶き、いくつもの雷撃を落としてプロペラの動きを不安定にした。衝撃と揺れで、隻たちはやっと顔が青ざめる。落ちそうになったところをアヤカリが悲鳴を上げる。聞きつけたグリフィンがアヤカリごと掴んで空中に残してくれたおかげで事なきを得た。
プロペラが止まった。アヤカリにしがみつこうとしていた骸骨たちは間に合わず、幽霊飛空船と共にみるみる空色のどこかへと落ちていってしまった。
アヤカリがえぐえぐと泣きながら、隻たちをグリフィンの背中にまで移動させた後、人の姿になって泣いている。しかし隻も翅も銀色のグリフィンの背中に乗れた今に感動してアヤカリどころではない。
余計泣き崩れる翅の従者である。
「すっげえ……!」
『どうせ俺なんてぇぇぇぇ……ただの水だもん!!』
『泣き喚くな、翅の従者よ。認められぬなら認められるだけの力を真価としてこそ』
雷駆の言葉にアヤカリが悲鳴を上げて隻にしがみついた。どうしたのかと驚いて見下ろせば、翅の幼少期の姿になっている彼の目は、雷駆の角の電気に向けられていて。
……純水、電気通さないんじゃなかったっけ。
『三人とも、無事か』
静かな声に、翅とアヤカリが目を輝かせている。アヤカリの目は明らかに別の意味で輝いていたのはわかっていたが、隻はひとまず頷いた。
「ああ、ありがとな。雷駆も。助かった」
『礼には及ばぬ。我が主との契りを違えぬだけよ』
マジかっけえ……!
グリフィンも背中の隻たちを片目で見据えてくる。
『構わないさ。俺も天理に頼まれたから来ただけ。主人が世話になった相手に、俺が何もしない道義はない』
くっそこっちもかっけえ……!
「い、いやいや、俺じゃなくて隻ならそれっぽいことやりまくってたけど」
「嘘言え何もしてねえよ!! ――ってか、天理怒ってたんじゃないのか? 千理のこととか」
雷駆とグリフィンが低く抑えた笑いを響かせる。余りにも意外でぽっかり口を開けるていると、アヤカリが恐る恐るグリフィンの羽にしがみつきながら見下ろした。
『もしかして天理ってツンデレ?』
「アヤカリー殺されるー。俺たちから抹消されるー」
『いやあああああああああああ!』
『心配しなくても、自覚はしてるだろうさ』
してるんかい。
翅の手が無言で突っ込んでいた。
『本当、天理は不器用だからね。武討
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