こんにちは。ユキです。昨日宅配便が届きました。何か注文した覚えも、そんな知り合いも居ないので、不審に思って差出人を見ると高杉さん。中身は高そうな焼き菓子。…そんなに不憫に見えましたか?


高杉さんが送ってくれた焼き菓子は沢山入っていて、一人では食べきれない。なので幾つかを自分用にもらって、残りは大将と女将、まさちゃんにお裾分けすることにした。
昼過ぎに店に向かい、丁度休憩していた女将さんに箱ごと手渡した。そのままエプロンをして店に出る。

「まさちゃん、お疲れ様。交代するよー。」
「あ、ユキさんありがとうございますぅ。」

まさちゃんは今時の子って感じで、派手な女の子だ。話し方もぶりっこなんだけど人懐っこい性格で、礼儀はキチンとしている子だった。結構いいとこのお嬢さんらしい。

「えっとぉ、あちらのお客様のご注文がまだなんですぅ。」

かれこれ15分はメニューと睨めっこしているらしい。あの銀髪は。

「分かった。あ、頂き物なんだけどお菓子持ってきたから、よかったら幾つか持って帰って?」
「わぁ!ありがとうございますぅ。」

花が咲くように笑う彼女は可愛い。大人っぽい格好を好む子だけど、童顔なのだ。奥に入っていく彼女を見送って、食器を洗っていく。洗った食器を布巾で拭いて、棚に戻す。

「すいまっせーん。」
「!…はーい。」
「えっとー、あんこ一つで。」
「はい、お待ちください。」

私銀さんてツケのイメージしかないんだけど、払って貰えるのかな?炭火で焼いた団子にこし餡をたっぷり乗せる。よし、できた。
持っていこうとすると、まさちゃんが出てきた。

「ユキさぁーん!コレめちゃめちゃ美味しいですぅ!!」
「あ、ホント?良かった。私まだ食べてないんだよね。」
「そぉなんですかぁ?」
「うん。あ、お待たせしました。」
「おいおい、蔑ろにしすぎじゃね?オレ客なんですけどォォォォ!?」
「コレ結構高いお菓子ですよねぇ?」
「んー、たぶん。羽振りは良いと思うけど。」
「無視ィィィィ!?」

煩いな。

「つーか何?そんな旨いのソレ。どれ、銀さんに貸してみなさい。」
「イヤですよぅ。コレは私のですぅ。」
「ホントに旨いか確かめてやるから。ちょっと味見するだけだからアァァァァ!!」
「銀さんには勿体ないですよぅ。其処らのフィナンシェとは味が違うんですからぁ。」
「それ喧嘩売ってる?」
「あ〜美味し〜!」
「ウゼェェェェ!!」

すっかり銀さんの横に座り込んだまさちゃんにお茶を渡す。仲良いな。