拾漆

おはようございます、ユキです。昨夜再び荷物が届きました。また高杉さんかと思ったら、まさかの坂本さん。中身はどっかの星のハンドクリームでした。…そんなに荒れて見えましたか?



「豆大福を10個ほど包んでくれ。」
「あ、はい。」

もうすぐお店が混む時間。まさちゃん遅いなーと思いつつ団子を焼いていたら、キッチリ隊服を着たゴリ…藤さんがいらっしゃった。今日は怪我してないみたい。…今から行くのかな?

「ユキさぁーん!!」

裏から出てきたまさちゃんが叫んだ。私は大福を詰めながら訪ねる。

「おはよう。どうしたの?」
「どうもこうもありませんよぉ!このハンドクリームどうやって手に入れたんですかぁ!?」
「え?貰い物だけど…」

坂本さんがくれたハンドクリームを使ってみたら凄く良かった。ベタベタしないし、効果も早い。すでに手はスベスベだ。流石は天人の最新技術。コレはまさちゃんにもオススメしようと持ってきた。
そういえば机に置きっぱなしだったや。てか、なんでそんなに食い付いてるの?

「そ、そのハンドクリームは!?まさかあの…!!」
「そぉですよぉ!よく気付いたゴリラ!!」
「アレ?今この子ゴリラって言った?」
「この雑誌を見て下さぁい!」
「無視ィィィィ!!?」

なになに?

『最新ナノ技術を取り入れた最新のハンドクリーム!−1358℃の極寒の星で、僅かしか作られないこのクリームは非常に手入困難であり、セレブの間で高値で取り引きされている代物!今手に入れたい、手に入らないNo.1!!…』
「…へぇ。」
「ちょ、コレ使ってみていいですかぁ?!」
「え?あ、うん。どうぞ。まさちゃんにオススメしようと思って持ってきたの。」
「キャーッ!やったぁ!!」
「俺も!俺も使ってみたいー!」
「え、はあ、どうぞ。」
「キャーッ!やったぁ!!」

同じ言い方でもエライ違いだ。後の人声図太いんだもん。てか、近藤さん手荒れ気にするの??

「コレお妙さん…恋人に買って来てって頼まれてるんだよね。」

キャバ嬢全員分買ってこいや的な?なんか聞こえた。然り気無く恋人って言ってるよこの人。

「それは無理ですよぉ。だってぇ、お通ちゃんでも手に入らないって雑誌で言ってますしぃ。」
「やっぱり…」

ガックリしてる近藤さんは置いとして少し思案する。

「お礼言わなきゃだよねぇ。」
「あれ、もしかしてこの前言ってたストーカーですかぁ?」
「なに!?ストーカー!?それはイカン!!」

お前がな。

「ストーカーって…。違う違う。ほら、この前来たサングラスにモジャモジャの人。」
「アイツ…!!」
「自己紹介もしてないのによく名前も家も分かったよね。」

「「え。」」

ホントどうやったんだろ?あ、でも銀さんの家も見つけてたし、情報屋とかいるのかも。

「一回会っただけなのに。」
「「…」」

私なら覚わらない。ムリ。忘れる。

「ススス、ストーカー!!!ストーカーですよぉアノヤロォォォォッ!!!」
「間違いないな!なんて陰湿なんだ!!」

お前が言う?

「ち、違う、違うよ。あの時手が凄く荒れてたから、不憫に思ったんだって…」
「そんな些細な悩みに気付くなんてスゴいな!!」
「…違うと思いますけどぉ、このクリームはグッジョブですねぇ。このままたかってやりましょぉ。」

ニヤリと笑うまさちゃんに苦笑い。俺も頑張ろう!なんて笑ってる近藤さんにも苦笑い。でも最後に、
「辛くなったらいつでも真選組においで」
と言って去っていった近藤さんは格好良かった。ホント残念な人だ。