拾玖
こんにちは、ユキです。今日はこの間見つけた駄菓子屋に来ています。
駄菓子屋はいくつになってもワクワクするもので。子供の頃に食べていた駄菓子を幾つか手に取る。んまい棒とか微妙に名前は違うものもあるけれど、大体同じ。綿菓子なんてあるんだー。んまい棒とどんどん焼、串カステラ、ソーダ餅、棒つきの飴を幾つか買って店を出る。
「桂ァァァアア!!!!」
…ドゴーンッ
凄い音がした。うわお、初めて見たけど凄い。ホントに家半壊させちゃってるよ。
「隊長ォォォ!」
「ちっ、逃げ足の早えヤローだ。」
思わず遠い目をして壊れた家を見ていたら、晴れてきた粉塵。ふと騒動の元凶と目があってしまった。
「ちょ、コレまた副長に怒られますって!隊長!?…ぶっ!!」
「ユキさん…!?こ、こんな処で、ぐ、偶然ですねィ。」
一緒にいた隊士の人に持っていたバズーカを投げ渡した総悟くん。咄嗟だったからか重さで隊士の人潰れかけてるよ。
「い、いい天気ですねィ。散歩ですかィ?」
いい天気?曇りだけど…
「…まあ、そんなところです。」
「あ、あの、この後良かったら『キキーッ』…」
「隊長ォォォオオ!!!歌舞伎町三丁目で強盗事件が発生したもようです!犯人は未だ立て籠り中!!お願いします来てくださ「すぐ行くぜィ!!」…えぇぇぇぇ!!?」
さっきまでのオロオロモジモジから一転、キリッとした顔になった。総悟くんて仕事やっていないイメージだったけど、やっぱりちゃんとやってるんだな。
「た、隊長ォォ!?一体どうしたんでグフッ」
あ、そういえばさっき買った棒つきの飴が…ん?なんか運転手の人がめっちゃ顎押さえてる。
「じゃ、じゃあユキさん。ま、また…」
「はい。あ、コレ良かったら。」
運転手の人と後ろに乗り込んだ一人、あと総悟くんの分。三本の飴を窓から手渡す。テンション上がって買いすぎちゃったし。
「さっき駄菓子屋で買ったんです。」
「あ、…ありがとうございやす…!!」
キラキラした顔が眩しい。なんか隊士の人達顔が青いけど。大丈夫?
一歩下がって車の発進を促すと車は歌舞伎町に向かって走り出した。
事件かー。やっぱり真選組って大変なんだな。そして総悟くんはやっぱり可愛かったな。