弐拾参

こんにちは、ユキです。最近真選組の人たちを街中でよく見かけます。…もしかして鬼兵隊探してますか?





「…はぁ。」

店先で美少女が溜め息をついている。綺麗な金髪に鮮やかな着物。なんか見たことあるんだけど。

「なにかぁ悩み事ですかぁ?」
「…アンタには関係ないっス。」
「それもそうなんですけどぉ。ユキさんも気にしてるみたいですしぃ、顔を見れば分かりますぅ。……恋の悩みですよねぇ。」
「はあぁぁ!?こ、こ、こ、」
「恋」
「ち、ちちち違うっス!!」

大声が聞こえたので、まさちゃんに何かあったのかと思ったら、ニヤニヤ笑うまさちゃんと顔を真っ赤にしたまた子ちゃんがいた。

「ユキさぁん!恋ですよぅ、恋!!」
「て、てめェェェ!!違うって言ってるじゃないっスかァァ!!!」

真っ赤な顔で怒るまた子ちゃんは迫力は欠ける。でもとても可愛い。女の子って感じだ。それにしても女の子って恋バナ好きだよね。

「贈り物ですかぁ?」
「お、贈り物っていうか…」
「口に出して整理してみるのも大事ですよぉ。何かアドバイスできるかもしれないしぃ。」
「う……。なんか最近誰かに贈り物をしているみたいなんスよ。」
「浮気ですかぁ!?」
「浮気って…あ、あの方とはそんな関係じゃないっス!!」
「ふぅん?それで?」
「その贈り物っていうのがお菓子ばかりで、多分相手は女だと思うんス。」

あれ、なんか嫌な予感がする。

「贈り物はあの方自身が選んでいるみたいなんスが、その時の顔が今までになくお優しい顔をなさっているんス。」

呆れてるんじゃなくて?

「それでもやっぱりお忙しい方なので、自ら足を運んで探すのは大変そうなんで部下の何人かで手伝う事にしたっス。」
「なんていうか、健気ですねぇ。」
「…そーだねー。」

高杉さん心配掛けてますよ。そしてその高杉さんに心配を掛けているらしい私。元凶私じゃねーか!!

「どんなお菓子探しているんですかぁ?」
「えーっと、取り敢えず美味しいモンっスかね。仕事柄色々な所に行くんで、今まではその地域の名物とか使ったお菓子を贈っていたみたいっス。」
「値段はぁ?」
「気にしないっス。」

私は二人と目を合わせることができない。申し訳無さすぎて。

「マロングラッセとかどうですかぁ?」
「マロングラッセ?」
「江戸にあるお店なんですけどぉ、テレビや雑誌の取材は受けない老舗のお店なんですぅ。一粒千円するとか。」
「千円!?」

やめてー!!なんか居たたまれない。

「それくらいの値段なら問題ないっス。」
「ちょっと此処から離れているんでぇ、地図書きますねぇ。」
「恩にきるっス。」




次の日の夜、家に帰るとマロングラッセが机の上に置いてあって切ない気持ちになった。